約 1,996,469 件
https://w.atwiki.jp/kemono-friends2/pages/7.html
動画(youtube) @wikiのwikiモードでは #video(動画のURL) と入力することで、動画を貼り付けることが出来ます。 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //www1.atwiki.jp/guide/pages/801.html#id_30dcdc73 また動画のURLはYoutubeのURLをご利用ください。 =>http //www.youtube.com/ たとえば、#video(http //youtube.com/watch?v=kTV1CcS53JQ)と入力すると以下のように表示されます。
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527 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[] 投稿日:2017/04/30(日) 23 06 27.58 ID WpS58RW00 [1/2] アライさん「うぉおおおおおお」 鳥フレンズ「え? なっ...」 (ガシッ アライさん「捕まえたのだ 帽子泥棒め」ブチィ(羽根をちぎる) 鳥フレンズ「ぎゃあ!ぁああああおああああ! ?ああああああ◎あああああああ△%×※」ブシャーッ(大量出血 アライさん「取ったのだー! とうとうアライさんの時代がきたのだ(キチ顔)」 フェネック「アライさんまた殺ってしまったね」 鳥フレンズ「ううう ヒック... (絶命)」 アライさん「帽子じゃないのだー! とりあえず死体を洗うのだ(マジキチスマイル)」 フェネック「はいよー またボディ透明にしなきゃね」 アライさんのssへ戻る
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読み すっごーい!きみはまるまるのふれんずなんだね! 流行った時期 2017年2月~3月? 流行った界隈 Twitter etc... 発祥元 多分これ?-Twitter 解説 アニメ「けものフレンズ」のサーバルが言ってそうで言っていないセリフ(「すっごーい!」は言ったことがある)。 元ネタは、 「あなたは、狩りごっこがあんまりすきじゃないけものなんだね」と「へーきへーき、フレンズによって得意なことちがうから」が混合したという説が有力だと云われている。 2017年4月13日放送のMステにて、 尾崎由香(サーバル役)「タモリさんは動物で何か似ていると言われたことはあるんですか?」 タモリ「イグアナくらいかな」 尾崎由香「(サーバルの声で)すっごーい!タモリさんはイグアナのフレンズなんだね!」 というやり取りが行われ、 その後、タモリに「こういう決め台詞があるんです」と説明したことにより、 一応はサーバル公認のフレーズとして認められた事になり、 この言い回し自体も役者側が把握している状態である事が分かる。 さらに多数のパロディが存在している。 ちなみに公式としてパロディに使われたのは、まずは大川ぶくぶの『ポプテピピック セカンドシーズン』(まんがライフWIN連載)で、 13-2話で「きみはキレるのが得意なフレンズなんだね!」というセリフがある。 また、アーケードゲーム『プリパラ』で、 3月下旬に追加された読み込み中画面のセリフの中に登場キャラクターである真中のんの「すごーい!あなたもシュガーレスなフレンズなんだね!たーのしー!」、 太陽ペッパーの「お前シュガーレスのフレンズだな?」がある。 これはのん、ペッパーがいるアイドルチーム「ノンシュガー」に『シュガーレス×フレンド』と言う曲があるため。 関連リンク ニコニコ大百科-参考元1 ピクシブ百科事典-参考元2
https://w.atwiki.jp/trashpanda-araisan/pages/183.html
779 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ ddba-aYWJ)[sage] 投稿日:2017/10/23(月) 20 58 33.63 ID +9se1bSg0 [3/9] アライさん以外のフレンズも基本動物が言葉を話すだけなのだが違いを見てみよう。 イエイヌ「ご主人さま、おなかすいちゃった…」グ~ よしよしご飯をあげよう。 アライさん「ヒトさん、お腹すいたのだアライさんになんかよこせ」 うるせぇ、死ねっ! マワシゲリー イエイヌ「ご主人さまーお外に出てあそぼう」フリフリ いいよ、はぐれないように手を繋いで歩こうね^^ アライさん「ヒトさん退屈なのだ、なんか遊んでほしいのだ」フリフリブラーン 垂れ下がったしっぽが不快だからちぎるね ブチッ イエイヌ「ご主人さま好き…交尾しよ…」ポッ 流石にそれはまだ早いよ…ナデナデ アライさん「アライさんと交尾させてやるのだ、繁殖するのだー!」パッカーン エムジカイキャクー 二度と増えないように去勢してやるわ! あそこに電球IN!!蹴り入れてパッリーン! これが愛玩動物と不快害獣のフレンズの差である お分かりいただけたであろうか! 796 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 (ワッチョイ d66d-U5aN)[sage] 投稿日:2017/10/23(月) 22 00 57.41 ID UN30UdEY0 [4/4] 779 一万数千年前から人類のパートナーをしてきたイエイヌ、相思相愛の歴史が双方に遺伝子レベルで刻まれている感じ ふてぶてしい害獣・アライ、遺伝子レベルでアライはヒトに迷惑をかけるし、ヒトはそれに拒否反応をかきたてられる…… ss その他へ戻る
https://w.atwiki.jp/kintetsuhyosiki/pages/144.html
タグ レア度7 丸形 規制標識 青地白記号 画像提供依頼現在、「タイヤチェーンを取り付けていない車両通行止め」の画像提供を依頼しています。 情報提供依頼現在、この道路標識についての情報提供を依頼しています。依頼者 近鉄依頼日 2019/8/16 2018年12月に施行された規制標識。 冬季にタイヤチェーンを取り付けていない車両は通行できないという意味がある。 また、通行止め系の標識の中では唯一青地白記号の標識である。 まだ施行されて間もない標識であるためか、設置数はまだまだ非常に少なく、それに設置場所も限られると思われるため今後もレア度は高いままであろう。 冬季以外は標識にカバーが被されるため、その点もレア度が高い点の一つである。 番号 310の3 分類 規制標識(丸形、青地白記号) レア度 7 コメント 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/kuizu/pages/5476.html
自作 2017年12月に発売されたどうぶつビスケッツ×PPPの2ndシングルで、 アプリ『けものフレンズぱびりおん』のテーマソングにも起用されている楽曲は何? (2018/10/15 みんはやでだしたやーつ オリ問1) タグ:音楽 Quizwiki 索引 な~ほ
https://w.atwiki.jp/happyparkfriends/pages/15.html
ハッピー・パーク・フレンズ(Happy Park Friends)は、日本の京都で2004年に結成され2005年に解散したロックバンド。 ゴリゴリのヘヴィメタルに憧れているだけのバンドの一つとして知られる伝説的なタンパク質群である。
https://w.atwiki.jp/pokecharaneta/pages/14485.html
今まで出て来たフレンズで纏めると キタキツネ ロコン ギンギツネ アーロラロコン キリン キリンリキ タイリクオオカミ ルガルガン(真昼の姿) 博士 ジュナイパー ミミちゃん モクロー ライオン エンテイ ハシビロコウ バシャーモ -- (名無しさん) 2017-03-17 22 43 19 シロサイ サイドン ツチノコ ノコッチ トキ チルタリス アルパカ デンリュウ オーロックス ケンタロス パンサーカメレオン カクレオン アメリカンビーバー ビッパ フンボルトペンギン ポッチャマ ジェンツーペンギン ポッチャマ イワトビペンギン ポッタイシ ロイヤルペンギン ポッタイシ コウテイペンギン エンペルト -- (名無しさん) 2017-03-17 23 25 53 ヘラジカ オドシシ コツメカワウソ ブイゼル ジャガー レパルダス キンシコウ ゴウカザル ヒグマ リングマ リカオン グラエナ ラッキービースト オタチ -- (名無しさん) 2017-03-24 14 40 58 アリツカゲラ ツツケラ ヤマアラシ ヒノアラシ アルマジロ サンド マーゲイ ニャオニクス(メス) スナネコ エネコ -- (名無しさん) 2017-03-25 23 04 34 女王は、ダークライも似合います -- (名無しさん) 2017-05-05 09 57 13 アニメまだ出ていないキャラも ヘルガー フクロオオカミ ジュゴン ステラーカイギュウ -- (名無しさん) 2017-06-23 23 07 06 草案 オーダイルorワルビアル:イリエワニ スワンナ:コハクチョウ -- (ユリス) 2017-06-23 23 19 31 ネタを思い付いたのですが、アライグマのアライさんについて、 アライグマではないものの、グローブと靴のデザインや第11話の「ふははは」が印象的なのと その回において、火山でカバンちゃん達とようやく出会ったので、ヤトウモリかエンニュートの追加をお願いしますm(__)m -- (オクタPON) 2017-06-29 18 39 33 かばんちゃんについて ウェーブのかかった髪の形や色から、かばんちゃんの生まれた原因である 毛髪は彼女のものではないか?といった説が 一部ファンの間でまことしやかに囁かれている件や、 訪ね旅という繋がりでして、カコさんに項目に色違いバンギラスや、 かばんちゃんに迷子繋がりのヨーギラスの追加をよろしいでしょうか? -- (名無しさん) 2017-08-09 08 23 03 アニメには登場していませんが、アプリ版に登場したキャラで。 オイナリサマ アーロラキュウコン キュウビキツネ キュウコン オオタカ ムクホーク -- (名無しさん) 2017-08-13 20 00 05 四神キャラでは キングドラorレックウザ:青龍 ファイアローorホウオウ:朱雀 コリンクorライコウ:白虎 コドラorカイオーガ:玄武 -- (ミキ) 2017-08-19 22 34 45 フォッサについて フォッサは食肉目ジャコウネコ科に属する動物なので、 アローラニャースから、ジャコウネコ科系に近いポケモン ザングースに変更をお願い致します。 -- (オクタPON) 2017-08-20 13 25 11 草案 アーボ:アフリカニシキヘビ NNはアカニシで エレザード:エリマキトカゲ ケンホロウ:キジ チラーミィ:チンチラ -- (ユリス) 2017-08-20 13 37 53 現状出てないフレンズでこんなのはどうでしょうか。 コモドドラゴン(コモモ) バンギラスorサザンドラ 性格:れいせい スキルの「あまねし深淵の恋愛感情」により破壊光線などのビーム技が、 毒をもっていることから毒技必須。 高いシッポ(物理)の攻撃力とフレンズの中でも高めの耐久力を優先するなら前者 ドラゴンの面と色を意識するなら後者がいいだろう。 持ち物はちいさなキノコが良いかと。 アメリカレア(レア) バシャーモorドードリオ 性格:ゆうかん キックで攻撃するフレンズなので足技を中心に覚えさせたい。 スキルの「未知なる一撃は頭上」よりとびはねるがあると良い。 -- (名無しさん) 2017-08-23 22 24 30 草案 ブイゼル:ラーテル コータス:アカホシガメ パウワウ:チチュウカイモンクアザラシ -- (ユリス) 2017-08-26 09 31 08 四神 ギャラドス:青龍 -- (名無しさん) 2017-09-09 15 30 15 草案 エレキブル:ゴールデンタビータイガー ゴルバット:ナミチスイコウモリ ヨルノズク:ワシミミズク -- (ユリス) 2017-09-09 15 49 47 漫画版に登場する菜々さんについて、彼女はどうやらカコ博士の従姉妹らしいのでバンギラスとの卵系統が近いメガニウムの追加をよろしいでしょうか? -- (オクタPON) 2017-09-10 22 11 45 雄の特徴持っているフレンズもいるから 雌に拘らない方がいいんじゃないか? -- (名無しさん) 2017-09-13 23 10 06 草案 マッスグマ:ゼンザブロウタヌキ カエンジシ:ホワイトライオン -- (ユリス) 2017-09-16 16 53 49 ロトムはみちづれを覚えないので該当部分を削除させていただきました。 -- (名無しさん) 2017-09-23 20 50 37 ジャガー→ガオガエンはどう? -- (名無しさん) 2017-10-11 19 11 51 第1話にてカバンちゃんに対してカバは 「あなた泳げまして?空は飛べるんですの?じゃあ足が速いとか?」 と問いた結果 「い、いえ…」と仰いましたので、 かばんちゃんにコインキング ヒンバスの追加はよろしいでしょうか? -- (オクタPON) 2017-10-18 20 26 25 草案 サザンドラorジガルデ(50%):ヤマタノオロチ -- (ユリス) 2018-03-03 19 32 03 ルージュラ :ボルネオオランウータン -- (名無しさん) 2018-05-16 08 54 11 フクロオオカミにはニンフィアもいいと思います。 -- (ヨハネ) 2018-05-22 14 06 29 アプリ未登場フレンズで アローラキュウコンor色違いのグレイシア ホッキョクオオカミ マフォクシー アカギツネ -- (ヨハネ) 2018-05-22 14 08 18 アニメ未登場フレンズにて ゼンザブロウダヌキ→ダンザブロウダヌキに修正お願いします。 -- (ヨハネ) 2018-05-22 14 18 19 アカギツネ ロコン オオミミギツネ イーブイ オグロスナギツネ イーブイ -- (名無しさん) 2018-10-04 09 31 51 ジャイアントペンギン エンペルト ケープペンギン ポッチャマ ホオジロカンムリツル オドリドリ(まいまいスタイル) シュバシコウ スワンナ -- (名無しさん) 2018-10-04 09 41 54 草案 スカンプー:マダラスカンク -- (ユリス) 2018-10-16 06 28 19 ペリッパーorズルズキン:ハシロゴウ 後者はめつきから -- (名無しさん) 2019-01-15 13 07 22 草案 ゴーゴート:セーブルアンテロープ ファイヤー:ケツァール ヤレユータン:ボルネオオランウータン -- (ユリス) 2019-01-18 21 18 10 草案 ペリッパー:コシベニペリカン ヌオー:ドワーフサイレン -- (名無しさん) 2019-02-17 21 23 31 草案 ドンカラス:ヤタガラス -- (ユリス) 2019-03-30 10 51 16 草案 キテルグマor ベロリンガ:マレーグマ 後者は、熊ではないがつね舌をだしている -- (名無しさん) 2019-03-31 09 28 37 草案 ゴウカザル:キンシコウ トドゼルガ:トド ホーホーorモクロー:モリコキンメフクロウ -- (ユリス) 2019-04-03 21 55 14 草案 イエネコ ニャース -- (シマエナガ) 2019-06-29 19 20 40 草案 バクガメス:ワニガメ エモンガ:オブトフクロモモンガ -- (ユリス) 2019-07-15 10 17 19 ゼニガメ アカミミガメ ミミロル ホッキョクウサギ エーフィ モモイロパンサー -- (ミキ) 2020-04-05 17 33 48 草案 ミルタンク:ジャージー -- (ユリス) 2020-04-05 19 59 17 フレンズにはオシャボはフレンドボール推奨かな -- (麻宮穹) 2020-06-20 21 17 59 ↑ジャパリパークってことでサファリボールも良さそうだゾ。 サファリパークがHGSSまでしかないから入れれるポケモンは限られてるけど。 -- (名無しさん) 2020-06-20 22 37 50 クスネ:フェネック -- (サマヨール) 2020-08-22 19 56 17 草案 ゴルダック:カモノハシ ジュゴン:ステラーカイギュウ オシャマリ:キタオットセイ -- (ユリス) 2020-08-23 16 30 43 四神 ファイヤー:朱雀 -- (サマヨール) 2020-09-07 17 49 11 アクジキング:サーバル -- (サマヨール) 2020-09-19 13 18 26 草案 サンダー(ガラルのすがた):ヒクイドリ -- (ユリス) 2020-09-19 19 45 21 ルガルガン:ニホンオオカミ -- (サマヨール) 2020-09-21 09 51 28 ルガルガン(まひるのすがた):リカオン -- (サマヨール) 2020-09-26 11 31 17 シェルダー:マレーグマ 熊じゃないけど常に舌を出しているので。 -- (サマヨール) 2020-09-28 17 30 53 色違いイーブイ:ギンギツネ -- (サマヨール) 2020-10-02 18 47 07 アニメ2期に登場したフレンズ カモネギ(ガラルのすがた):カルガモ -- (サマヨール) 2020-10-06 17 05 02 アニメ1期に登場したフレンズ ソルガレオ:ライオン -- (サマヨール) 2020-10-08 09 16 42 チョボマキ:ボスセルリアン -- (サマヨール) 2020-10-09 14 39 43 捕獲日・孵化日 かばん:7月23日 サーバル:5月15日 -- (サマヨール) 2020-11-11 23 21 05 セルリアン イシヘンジン:壁型 -- (サマヨール) 2020-11-17 07 57 19 ジュペッタ:ラッキービースト(ボス) -- (サマヨール) 2020-12-04 20 03 11 エリア・施設 サファリゾーン:ジャパリパーク ライモンシティ:ゆうえんち -- (サマヨール) 2021-04-03 06 54 48 草案 主題歌 オープニングテーマ ラルトス:乗ってけ!ジャパリビート エンディングテーマ スターミー:星をつなげて リザードン:君は帰る場所 -- (ユリス) 2021-04-11 16 00 43 エリア・施設 シェードジャングル:じゃんぐるちほー -- (サマヨール) 2021-06-26 07 56 54 バチンキーorエーフィ チンパンジー 後者はブイズ繋がり -- (mimitan) 2022-01-02 11 24 42 カクレオン:パンサーカメレオン カムカメ:アカアシガメ カメックス:インドホシガメ ハヤシガメ:ガラパゴスゾウガメ カメール:ヒョウモンガメ シャワーズ:バンドウイルカ アバゴーラ:アオウミガメ -- (ミキ) 2022-09-13 04 11 41 イルカマン:マイルカ ナミイルカ:バンドウイルカ カラミンゴ:オオフラミンゴ -- (ミキ) 2022-11-30 19 27 59
https://w.atwiki.jp/z-tan/pages/4.html
ニュース @wikiのwikiモードでは #news(興味のある単語) と入力することで、あるキーワードに関連するニュース一覧を表示することができます 詳しくはこちらをご覧ください。 =>http //atwiki.jp/guide/17_174_ja.html たとえば、#news(wiki)と入力すると以下のように表示されます。 【カウンターサイド】リセマラ当たりランキング - カウサイ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) ウィキペディアを作ったiMacが箱付きで競売に登場。予想落札価格は約96万円!(ギズモード・ジャパン) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース 【テイルズオブルミナリア】リセマラ当たりランキング - TOルミナリア攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 終末のアーカーシャ(終アカ)攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) メトロイド ドレッド攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【グランサガ】リセマラ当たりランキング - グランサガ攻略wiki - Gamerch(ゲーマチ) マニュアル作成に便利な「画像編集」機能を提供開始! - ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」 (2021年12月6日) - エキサイトニュース マニュアル作成に便利な「画像編集」機能を提供開始! - ナレッジ共有・社内wikiツール「NotePM」 - PR TIMES 【アイプラ】リセマラは必要?当たりキャラランキング【IDOLY PRIDE】 - Gamerch(ゲーマチ) 【Apex Legends】ヴァルキリーの能力と評価【エーペックス】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ウインドボーイズ】リセマラ当たりランキング(最新版) - ウインドボーイズ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) モンハンライズ攻略Wiki|MHRise - AppMedia(アップメディア) 篠原悠希×田中芳樹が明かす「歴史ファンタジー小説ならではの悩み」(現代ビジネス) - Yahoo!ニュース - Yahoo!ニュース ポケモンBDSP(ダイパリメイク)攻略wiki - AppMedia(アップメディア) SlackからWikiへ!シームレスな文章作成・共有が可能な「GROWIBot」リリース - アットプレス(プレスリリース) 【ウマ娘】チャンピオンズミーティングの攻略まとめ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】ナリタブライアンの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】ヒシアケボノの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】フジキセキの育成論|URAシナリオ - Gamerch(ゲーマチ) ドラゴンクエストけしケシ攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 【スタオケ】カード一覧【金色のコルダスターライトオーケストラ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【スマブラSP】ソラのコンボと評価【スマブラスペシャル】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ブレフロレゾナ】リセマラ当たりランキング【ブレイブフロンティアレゾナ】 - ブレフロR攻略Wiki - Gamerch(ゲーマチ) 仲村トオル、共演者は事前に“Wiki調べ” - 沖縄タイムス 【ENDER LILIES】攻略チャートと全体マップ【エンダーリリィズ】 - Gamerch(ゲーマチ) 【ウマ娘】あんしん笹針師の選択肢はどれを選ぶべき? 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永遠フレンズ ◆yX/9K6uV4E ――――今だけだと言わないでよ。 永遠だよ……友達だよ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 思い出すのは、楽しいこと。 二人で歌っていた歌。 幸せだった頃の歌。 親友同士だった頃の歌。 ただ、友達で騒いで、思いあってるだけで良かった日の事。 今も、忘れるわけがない。 二人だけの楽しい思い出。 「ハッピース! 私達、出会えてよかったよね!」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「夕美……ちゃん……?」 携帯端末に表示された名前に、高森藍子は困惑してしまう。 大切な親友、行方が唯一解らない仲間。 ずっと心配だった彼女との邂逅が、まさかこんな形になるとは思いもよらなかったから。 でも、それと同時にどういうことだろうと藍子は考える。 この端末を手にした時、調べたけれども通話の機能なんて見つからなかった。 もしそんな機能があったとしたら、皆とっくに使っていただろう。 なのに、夕美ちゃんだけなんでできるんだろう? 疑問に思考が停止する。 一瞬、脳裏に浮かんだのは『悪役』という言葉。 存在するかもしれない主催者の息がかかったアイドルという。 そんな存在なら通話も可能だろうか。 相葉夕美は、もしかして…… 「ううん……そんな筈ないよ」 違う、と藍子は思った。 それはほぼ確信めいたいもので。 親友を信じるからこその確信。 彼女が悪役になんてなるはずがないのだから。 それはあり得ないはずなのだ。 「………………どうしよう」 振動が止まらない携帯端末を手に、藍子は逡巡する。 出なくては、いや心の底から夕美と話がしたいと思う。 けれど、余りに唐突すぎて戸惑いが生じてしまうのだ。 ついさっき、友紀とあんな別れ方をしたところにかかってくるなんて。 今、どんな言葉を自分自身が言うかわからなくて。 ぐるぐると思考が周り、端末を握り締めたまま、少し時間がたったその時だった。 「…………あっ」 藍子の持つ端末の震えが止まり、通話待機の文字が消えた。 通話が切れたという事だろう。 藍子は電話に出なかったことを後悔する。 けど、すぐにその考えを振り払うかのように首を振った。 「大丈夫、きっとまた……かかってくる」 何故だろう、そう思ったから。 相葉夕美が危険な目にあってるから電話を切った。 やっぱり話したくないから電話を切った。 そんな風には全然思わなかった。 むしろ、絶対にもう一度かかってくる。 そういう確信が藍子の中にあった。 「だって、私と夕美ちゃんは、親友なんだから」 なぜなら高森藍子と相葉夕美は親友なのだから。 それ以上に必要とする理由なんて、藍子の中には存在しない。 それだけで充分なのだから。 安心して、夕美がもう一度かけて来るのを信じられる。 「今はとりあえず……帰らないと」 隣にいるブリッツェンにいくよと一声かけて、藍子は歩き始める。 元居た場所、警察署へ。 走り回ってる茜と友紀への心配。 そして夕美への期待とかすかな不安を抱えながら。 それでも高森藍子は後ろを振り返らず前だけを見据えて歩いていった。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「はい……あっ……美穂ちゃん」 「…………うん」 こんこんと控えめな音に、栗原ネネは部屋の中に入ってくるよう促した。 入ってきた人物は遠慮しがちに、そして気まずそうにネネの表情をうかがっている。 小日向美穂、ネネに毒を飲ませた張本人が、ネネの目の前にいる。 その後ろには、見守るように、矢口美羽がいた。 あの騒動以降、そういえばまだ美穂とまともに話をしていない。 いや、美穂が避けていたのだろうとネネは思う。 どう言葉を交わせばいいのか、解らないのかなとネネは思ったから。 「あの……ネネちゃん」 「なぁに?」 美羽にそっと背を押され、美穂は小さく口を開く。 その瞳は揺れながらも、決意に満ちていて。 だから、ネネもそっと返事をする。 美穂はおずおずと、それでもしっかりと言葉を口にする。 「あの……ごめんなさいっ!」 謝っても謝りきれないけれど。 それでも、謝らないといけない。 ぺこりと頭を下げて、美穂はそのままあげようとせず。 ずっと頭を下げていた。 「わたし、とんでもないことしちゃって、ネネちゃんを傷つけて、後に残るかもしれないのに、わたし、わたし……どうしよう……ごめんなさい」 取りとめなく、言葉がどんどんと溢れる。 兎に角思いついた言葉を美穂は言ってるようで。 とても必死に見えて、ネネより年上なのに、ずっと小さく見えて。 許されないとわかっても、でも心の底から謝りたい。 そんな気持ちが本当に伝わってきて。 だから、ネネは目を閉じて 「……美穂ちゃん」 「だから……だから……ひゃい?!」 「もう、過ぎたことなんですよ」 「で、でも」 「そう、終わってしまったこと。だからもういいんです。何も変わることはない」 ただ、そう短く滔々と言った。 変わらない、終わったこと。 どんなことであっても、それはどうしようもなく変わりようがないのだから。 どんなに悔やんでも、哀しんでも。 栗原ネネの身体がこうなってしまったことは変わらない。 「……実際は、美羽ちゃんを狙ったんですよね?」 「うん……でも、ネネちゃんに……」 「そう……」 ネネは気落ちする美穂を横目に、美羽の表情をうかがう。 美羽は困ったように微笑んで、でもすっきりしたような表情で美穂を見ていた。 ということは、きっと、それはもう彼女達の中で解決したのだろう。この一件は。 それはきっと二人の未来にとってより良い形で。 ならば、もうネネがこのことに対して言うことは何もない。 「……そう、何も変わらない」 「ネネちゃん……」 「私が毒を飲んだことも、美穂ちゃんが飲ませてしまったことも、何も、何も」 「……っ」 「過去を変えることなんて出来ないんですよ」 「……あ……う……」 美穂の表情が歪んでいくのが目に見えてわかる。 ネネは少し心を痛めながらも、視線を美穂から美羽に移す。 ここから先は、とても大切な事だから。 「美羽ちゃん」 「はい……?」 「お願いがあります。美穂ちゃんと二人でいさせてくれませんか?」 「……えっと」 美羽は少しだけ戸惑い、美穂とネネを交互に見る。 やがて、ネネだけを見て。 視線を合わせて。 ネネの澄んだ瞳をみて。 「……うん、いいよ」 「ありがとう」 「外で待ってるからね。『二人』が笑ってるのを、楽しみにしてるから」 「……ええ」 安心したように、美羽は頷いて、外に出て行った。 美穂は縋るように外に出ていく美羽を見たが、美羽は笑うだけで。 頑張ってという言葉を残して、美穂は一人で、ネネと向かわなければならない。 ネネの表情はとても落ち着いていて、美穂にとってそれがとても怖かった。 「……正直、他の人に本当のことを伝えるかまだ迷っているので。でも、あなたには伝えないといけないと思うから」 「……何ですか?」 「私の身体、まだどうなるかわかりません」 「……どういうことです?」 「二回目の発作が来るかもしれません……いえ、多分来ます。それが一週間後かもしれないし、明日かもしれないし、もうすぐかもしれない」 「……っ」 「肺に来て……喉にも来て。そしたら、もう、歌えなくなります」 今はまだ楓と瑞樹、そして泉しか知らないネネが飲んだ毒の真実。 二回目の発作こそ、この毒の本領だということ。 そして、それは肺と喉を襲う、アイドルにとって致命的なものだということ。 それを聞いた瞬間、美穂の顔が真っ青になって、涙がぼろぼろとあふれはじめた。 ああ、とんでもない事をしてしまった。 どうにもならない間違いを犯してしまった。 取り返しのつかないことをしてしまった。 ことの重大さに気づいて、美穂はただ震えるだけで。 「わ、わた……し……と、とんでもな…………あぁ……!」 「…………でも、それも変わらない。あなたが選んだ道だから」 「あっ……う……」 「そして、私が先延ばしにしてしまった答えのツケかもしれない」 でも、とネネは言葉を続ける。 そう、何も変わらない。 たとえ、どんなに悔やんだとしても。 でも、 「あなたが私に毒を飲ませた結果。それは変わらなくて……でも終わったこと」 「…………」 泣いて、言葉が出ない美穂。 きっと、心の底から悔いてるのだろう。 胸を押さえて、でも美穂はネネから視線を外さない。 それが、傷ついた心を持ちながらも、美穂が手に入れた、ちっぽけかもしれないけど、大切なものなのだろう。 「……だから、大切なのは、今を見ることだと思うんです」 「……今?」 「小日向美穂が栗原ネネに毒を飲せた。そして栗原ネネの身体が蝕まれている。それは変わらない。そして、もう終わったことです」 「…………はい」 「だから、今を、未来を見ましょう。どう生きるかって」 だから、ネネは、その美穂が手に入れたものを尊いと思う。 そして、自分が手に入れた輝くものを、信じられるのだろう。 それは、希望といえるものなのかもしれないけど。 兎に角、今、ネネを突き動かしているものは、生きるということ。 「変わらないことを悔やんでも……何も帰ってこない。輝子さんの命も帰ってこない」 「……」 「だから、その選択を無下にしない為にも、私は私の命を精一杯、生きるしかないと思う」 「……せいいっぱい」 「ええ……私はまだ、歌いたい。アイドルとして。妹のために。それが私がアイドルになった理由だから」 「うん……」 「だから、私は生きるんだ……どんな時でも、哀しみを言い尽くしても始まらない。なら、歌おう。いつも、何度でも」 そう、変わらないことは変わらないことだ。 もう、終わったことだ。 でも、それを無かったことになんて出来ない。 選択したということはいつまでも残り続ける。 なら、無下にしない為に、ネネは生き続けることを選ぶ。 歌って、歌って。 アイドルであることを証明し続けて。 妹の為になると信じて。 たとえ、喉が潰れて、肺が動かなくなっても。 きっと、その選択を後悔しない。 「ねぇ、美穂ちゃん。だから私に毒を飲ませてしまったことは変わらない。そのことにいつまでも後悔しないで」 「……えっ」 「必要なのは、今、それを見つめることだと……思うんです。ねぇ、美穂ちゃん……」 ネネはそっと美穂の胸に手を向ける。 心をさ刺すように、優しく微笑みながら。 「貴方がやったことは許されることじゃないかもしれない。けど、貴方の弱さは、それを選んでしまった心の傷は、きっと貴方の輝くものに変わる」 「……そんなこと無いよ……ただ、人を殺そうとしただけ」 「……そう思わないで。貴方の弱さ、貴方の心の傷はきっと誰にも無い『力』になる」 「『力』?」 「はい。きっと、誰かを救えるくらいの力に」 小日向美穂はどこまでも弱い。 恋に揺れ、今もなお心に傷を負っている。 けれど、その弱さと傷こそ、小日向美穂しか持ってない力だろう。 弱いまま、きっと彼女は強くなれる。 それはきっと、いつか誰かを救えるくらいに。 ネネは、そう思えてならないかから。 そう、思いたいから。 「そんな、でも……わたしは」 「だから……だから……」 思いたいから。 自分がした選択を後悔しないと、思いたいから。 気がついたらネネの声は自分でもわかるくらいに震えていた。 「私に、そう思わせてくださいよ! 正直言うと、怖いんです……!」 何もかも限界だった。 襲い掛かる死の恐怖。 今が終わってしまうことが怖い。 歌えなくなることが怖くないわけがない。 「私はまだ、歌いたい! 妹のために……私のために……なのに、どうしてあなたは、私をこんな身体にしてしまったんですか!」 静かに喋っていた筈なのに、もう怒鳴り散らすぐらいになっていた。 感情の昂ぶりが抑え切れなくて。 でも、ネネは美穂を睨まず、俯いてじっと自分の手の平を見ていて。 そこに、ぽつぽつと雫が落ち始めて。 「怖いよ、怖い……嫌だ……嫌だ……やめてよ……どうして……どうして、私なんですか」 そこにあったのは、アイドルでもない栗原ネネの姿。 小さな小さな、美穂より幼い少女が。 静かに泣いていた。 「私は歌いたいのに……あなたが……あなたが!」 恨みが無いなんてわけがない。 許したくない気持ちだって沢山ある。 それでも、 「でも……! ……私は……私は……!」 ネネは顔上げて、美穂の方を見つめる。 泣きながら、叫んだ。 「これ以上、友達を責めたくないから、恨みたくないから!」 それでも、栗原ネネと小日向美穂は友達だから。 そのままでいたいから。 大切な友人だから。 だから。 「終わったこと……変わらないこと……そういうことにしてください……お願いだから!」 それが、栗原ネネの精一杯の強がり。 栗原ネネの偽りの無い、心からの想いだった。 ネネは我に返ったように、涙をぬぐって。 「……美穂ちゃん」 「……はい」 「だから、私にしたことを決して忘れないで。ずっと抱えていて。そして、それを未来に繋げてください」 美穂は、目を閉じて。 そっと、胸を撫でる。 心の傷は、まだ残っている。 そこに、ネネにやってしまったことはずっとある。 そして、アイドルとして、ただ一人の少女としてのネネの独白。 受け止めるのも精一杯だけど。 でも、それを力に、未来に昇華する為に。 ゆっくりと心を撫でて。 美穂はゆっくりと目を開けた。 涙は流れてなかった。 「はい、わたし、ずっと抱えて……それでも、生きていきますから」 それが、美穂の決意で。 ネネへの贖罪に変わるのだろう。 そう思ったから。 だから、ネネも笑って。 「はい、それで赦します」 「……あっ」 「うん、もういいから」 「うぅ……ぅう……ごめん……ごめんねぇ……」 「もう、また泣きそうなってるよ……いいから、うん、いいんだよ」 これで、美穂がネネにしてしまったことも終わり。 でも、二人が生きる道は、ずっと続いていく。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 持ち帰ったものは希望であった筈なのに。 どうしてこんなことになってるんだろう。 私――大石泉は頭を抱え、目の前に立つ藍子さんを睨んでしまう。 解っている、彼女に悪気があったわけじゃない。 しかしそれでも穏やかな心持ちではいられなかった。 「どうして、単独行動してるんですか? 誰にも言わずに……ああ、もう……」 「ごめんなさい。でも、友紀ちゃんがいなくなって……」 「わかってます……でも、川島さんにぐらい一声かけられなかったんですか、……それに茜さんを止められなかったんですか?」 「もう、気づいたときには遠く……」 「ああ、もう……」 私がここを離れている間に、友紀さんが勝手に警察署から出て行ったという。 『悪役』を倒すために。仲間を護るために。 ……ああ、何で、そんな理由で。 私の、私のミスで、私の責任だ。 『悪役』だなんて言い出さなければ。 予定してた通りに図書館へと同行させておけば。 あぁ、もう……後悔ばかりが募る。 それに釣られて茜さんまでもが行ってしまうだなんて。 あの性格なら仕方がない気もするけど、それでも。 ……わかってる。わかってるつもり。 友紀さんが勝手に離れれば藍子さんが大人しくしていられないことくらい。 雨の中、あの二人が重要な話をしていたのもわかる。 私はその中に入ることが出来なかったし、しなかったけれど。 きっとそれも起因しているのだろう。 だから、わかる。わかるけど……納得しきれない。 「…………泉ちゃん。藍子ちゃんを責めても変わらないわ」 「わかってます……」 「落ち着いて。今、友紀ちゃんと茜ちゃんが此処にいない。これは変わらない。だから、これからどうするか、考えましょう」 「…………わかりました」 こういう時、諌めてくれるのはいつも川島さんで。 私は彼女のこういう言葉に落ち着かされる。 頼りきり……なのかな。 でも、助かっている。 私は彼女の言葉を受けて、もう一度藍子さんを見つめる。 彼女は苦笑いを浮かべて、 「私、お茶を入れてきますね」 「……すいません」 「いえいえ。私のせいだから」 私達の前から理由をつけて離れていく。 私が苛立ってるのもあって、気を使わせただろうか。 また彼女自身も居辛いと思ったからか。 その両方か。 それは、わからないけど、今はそれが有難い。 川島さんと楓さん――大人の人達とみんなの前では言い辛いことを話せるから。 「……で、正直不味いのよね?」 「……ええ、まぁ、そうです。人手が少なくなるのは正直……茜さんがすぐ帰ってくればいいのですが……」 「茜ちゃん、ロケットみたいな子だからそう器用に戻ってこれるかしら……?」 「はい、だから今いる人達でどう動くか、考えなければなりません」 横合いから楓さんが直球を投げてくるが、その通りだと頷くしかない。 いい状況かというとそんなことはない。 とっても悪い状況だ。 「今居るのが七人……ですが、ネネさんを動かすことはしたくありません」 「……そうね」 「私は首輪を解除するためにこれからまた調べものがあります。けれど、それと同時に港へと船を確認しに行き、……学校ももう一度調べたい」 「泉ちゃんがここに残るとして、残り五人。……私が船を見る組に入るのは決定として……学校か」 「はい……学校に回す手が足りない……そして、警告もなされた今……なにより時間がありません」 ネネさんは重病人だからここから動けない。 私が首輪解除の為にここに残るとしても、ネネさんを診る人も別に必要だ。 更に探索すべき場所はもう二箇所ある。 川島さんを船を捜す組に入れるのは確定だが、そうすると学校を再捜索する人員が揃わない。 学校を一度でも探索した事がある私か川島さんがいないと、わざわざ改めて探索する意味合いが薄いからだ。 じゃあ、私と川島さんがそれぞれの用件を終わった後でというと……今度は時間が足りない。 それに加えて、 「やはり、茜さんと友紀さん、同時にいなくなったのが……」 活動的で体力がある二人がいないのは痛い。 色々な足になる彼女達がいないのは本当に……辛い。 人員を分割するにあたって体力が無いメンバーばかりになるのは不安だ。 でも、現状そうせざるを得なくて。 ならば、どこかで妥協するのか? けれど、そんな余裕はないはずで、見えてくるのは……手詰まり。 私は喉元まで上がってきたその言葉を口にするのが怖くて……。 「――――あの、ちょっといいですか?」 ぞわりと背中に冷たいものが走った。 それは川島さんや楓さんも同じようで、強張った顔が私からはよく見えて。 ぎこちなく声がした方を振り返る。 そこに、細く暗い廊下の上にぽつんといたのはひとりの少女。 「智絵里……ちゃん?」 「はい」 緒方智絵里だった。彼女は川島さんの言葉に、場に相応しくないはにかみを見せて。 けれど、その両手にはしっかりと武器を、爆弾を握っていて。 なにか言わなくちゃ、動かなくちゃと思うも、口も足も凍りついたように動かなかった。 「あっ、……えっと、驚かせてごめんなさい。話し声が聞こえて、……危ない人だといけないから、足音立てないように、その……」 止めていた息を吸って吐く。 どうやら彼女は私達を殺そうとしていたのではないと知って、少しだけ緊張が解ける。 けど、その気があったならもうとっくに殺されていたわけで、役場で襲われたことを思い出しぞっとしてしまう。 私達はこんなにも儚げなのだと。いつ、どこで死んでもおかしくないのだと。 「わかったわ、智絵里ちゃん。……それで、貴女はどうしてここに? それと、一人かしら?」 「はい、それは偶然……ここかなって。私一人で、……それで、聞きたいことと、話したいことがあって……」 「……そう、いいわ。お話しましょう。新しい仲間は歓迎よ。だから、その手に持ったものは、ね?」 「あっ、ごめんなさい! はい、これは、もう……!」 川島さんになだめられ、ようやく緒方さんは爆弾を握り締めていた手を解き、それを仕舞った。 そこでようやく彼女に私達を殺すつもりがないのだと安心して、空気が和らぐ。 「とりあえず……、どこか部屋に入りましょうか。こんなところで立ち話をしているのは無用心なようだし」 「ええ、そうね。智絵里ちゃんもいいかしら?」 「はい、大丈夫です……」 そうして私達は手近なドアを開けると部屋――会議室の中へと入った。 会議室の中は暗く、空気が重い。 そこにいるのは私――大石泉と、川島さん、楓さん、緒方さん。そして、川島さんを探してやって来た美羽さん。 ネネさんと同じく怪我人である川島さんの姿が長く見えないので不安になったそうだ。 ともかく。 新しい人物である緒方智絵里は私達からの視線を一身に受けていて。 苦しそうな顔で、何度も言いよどんだ後、ようやくその言葉を口にした。 「…………私は……殺し合いに乗っていました」 「……えっ?」 思わず聞き返すほどに驚いて、 「主催者に唆されて……悔やんでも悔やみきれないけど、でも今はそうじゃないです。そして……多分、同じ立ち位置に回ってしまった人のことを聞きたいんです」 「同じ立ち位置?」 「姫川友紀さん……此処にいませんでしたか?」 続く言葉にもう一度驚いた。 緒方智絵里。 行方知れずだった彼女は、自分は『悪役』だと言い、そしてもうそこから降りたと言う。 そして、彼女が聞きたいと言ったのは、私達の仲間。 仲間だった人。 その人が、『悪役』になったという。 ……そんな。 「えっ、友紀ちゃん? 友紀ちゃんが……えっ?」 美羽さんがひとり目を白黒とさせる。 彼女だけはなにもわかってないようで。 逆に私達は言葉の意味をわかることができて、戦慄していた。 「やっぱり、いっしょだったんですね」 「……そうね。友紀ちゃんとはずっといっしょだったわ」 「お願いです……彼女のこと聞かせてください」 「いいけど……」 川島さんはまだ戸惑っていた。 この話は長くなりそうだ。ちらりと扉のほうを見る。お茶を汲みに行くと言っていた藍子さんはまだ戻ってこない。 呼びに行ったほうがいいだろうかと少し考える。 「……ありがとうございます」 「なら、先ず貴女のほうから話を聞かせてもらえるかしら? 智絵里ちゃん」 「はい川島さん……えっと、友紀さんに会った話からすればいいのかな……?」 「……ええ。彼女が今どうしているのか聞きたいわ」 「はい」 姫川友紀。 私達の仲間。 その人が『悪役』の側に回ったなんて、思いたくない。 だから、 「教えてください、彼女を何をしようとしていたか」 私は彼女のことが聞きたい。 仲間なのに、此処を離れた彼女のことを。 その先に待ってるのが絶望であるなんて考えもせずに。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「……あっ、美穂ちゃん」 「あ、藍子ちゃんもお茶ですか?」 「うん、そんな感じかな……」 「お湯沸いてますよ」 「ありがとう、でもちょっと休憩してから淹れようかな」 「じゃあ、藍子ちゃんのお茶淹れて、一緒に休憩しましょう」 「いいんですか?」 「うん、それくらい大したことじゃないし」 まるで逃げるように向かった給湯室では、小日向美穂がお茶を淹れていた。 美穂はまるで憑き物が落ちたように、穏やかではにかみながら笑っている。 それは藍子から見てもとても愛らしくて、この姿が本来の小日向美穂なのだろうと思う。 きっと自分らが外に出ている間に美羽やネネと話しあい、そこでよい結論を出したに違いない。 壁を乗り越えた美穂はどこか輝いて見えて。 それが今、友紀のことで悩んでいる藍子には、少しうらやましく思う。 「はい、お茶です」 「ありがとう」 給湯室に備えつけの小さなテーブルにつくと、携帯端末を取り出しなにも表示されてない画面を見る。 あれから夕美からの新しい着信はまだ、無い。 向こう側でなにかがあったのだろうか。けど、絶対にもう一度かかって来ると藍子は信じている。 それはただの希望でしかないけれど。 真剣に端末を見つめている藍子を不思議に思うと、美穂は自分もテーブルにつく。 そして湯気を上げるカップを前に、ふーっと大きな息を吐いた。 やっと落ち着けたのかもしれない。 この半日であまりにも色んなことが起き過ぎた。 両手では抱えきれないぐらいの。 それでも、壊れずにやってこれたのはきっと、救ってくれた人がいたから。 どんな時でも手をさし伸ばし続けた人がいたから。 そう、今目の前にいる少女が。 小日向美穂という少女をどこまでも見捨てなかったから。 だから、今ももここにいることができる。 「あの……藍子ちゃん」 「うん」 「美羽ちゃんとネネちゃんとちゃんと話すことができたんです」 「そっか……よかった」 「美羽ちゃんは困った風に笑って、そして許してくれて」 「美羽ちゃんだからね」 藍子には、美羽ならそうすることがわかっていた。 そういう子だから。 フラワーズの末っ子の妹はそういう子だから。 だから、何も言わずとも安心していた。 それが信頼だから。 「ネネちゃんは……きっと心の底では納得できてないと思います」 「……そう」 「でも、当然のことです。殺されかかって、そしても今も引き摺って……だから、わたしはとんでもないことをしたんだなって」 でも、だからこそ 「わたしは思ったんです。してしまったことをちゃんと受け止めていかなきゃって……生きていかなきゃって」 「……うん」 「だから、ネネちゃんはこれでおしまいって。済んでしまったことだって。きっとネネちゃんは強いんだ……本当」 「……」 「わたしはネネちゃんに比べて、弱いけど……」 いつだって美穂は弱かった。 けれど、今はなぜだろう? 弱さのなかに一つの芯が通っている。 そんな風に、藍子は思えてならなくて。 「なんだか、わたしはその弱さを忘れちゃいけないのかなって。それがきっと、未来に繋がる……そう、ネネさんにも言われて」 「……うん……うん」 「それが、私がしてしまった罪への贖罪の仕方で、わたしはこの心の傷をきちんと受け止めて、前に行かなきゃ……じゃなきゃ、あの二人が許してくれた意味が無くなると思うの」 「……美穂ちゃん」 「だから、前を向く。忘れないで受け止めて。それでも、こんな弱い私でも、きっとできることがあるって思いたいから……ううん、思うから」 そう言い切って美穂ははにかみながら、前を向いた。 途端恥ずかしくなったのか、顔を真っ赤にしてお茶を飲み干そうとする。 それもまた熱くて失敗してしまったけれど、美穂はずっと笑っていた。 美穂自身、今もまた後悔に苛まれ続けているだろう。 苦しくて哀しくて、泣き出しそうなぐらいに。 でも、その弱さごと抱えて生きていくことを、美穂は選んだのだ。 きっと、そのことに美穂は後悔しないのだろう。 「うん、頑張ろう……一緒に」 「はい」 「私も……きっと……」 藍子は、そんな美穂を見て一緒になって笑う。 そうだ、自分も頑張らないと。 友紀のことを考え、強く、そう思う。 だってそれは藍子自身が解決しないといけないことだから。 きっと道を違えてしまった原因は、間違いなくこちらのほうにある。 藍子はそう思って、唇を強くかみ締め、拳に力を入れた。 そう、これは自分の、フラワーズ問題なのだから。 「……藍子ちゃん?」 「ん?」 「あのね……」 そんな藍子の様子が、美穂はどうしても気にかかる。 いつもふわっとした笑顔を浮かべる藍子が、どこか彼女らしくない表情を浮かべているのだ。 それは真剣というか、張り詰めているというか、まるで自分を、追い詰めてるような。 何か、あったのだろうか。友紀との間に。 そしてそんな藍子に美穂は何か言葉をかけてあげたいと思う。 一人で悩んでる藍子に、助けてもらった恩返しがしたい。 その為に、手をさし伸ばしたいって。 美穂は思ったから。 前に進みたい、から。 「もし困って……」 「あ、藍子ちゃん此処に居たのね」 「あっ……楓さん。どうかしたんですか……?」 「御免ね、ちょっと来てもらってもいいかしら」 「何かあったんですか?」 「ええ、新しく人が来てね。……姫川さんのこともあるから、貴女ともいっしょに話をしたいの」 「……本当ですか!?」 勇気を出して話を切り出そうとした瞬間、給湯室の入り口から声がかけられ、美穂は口をつぐんでしまう。 入り口の方を向くと、高垣楓が藍子のことを冷めた目で見ていて。 そんな楓の様子に、美穂は何かあったんだろうと察してしまう。 来訪者というのも気になるが、美穂は彼女らの間に口を挟むことはできなかった。 「わかりました、すぐにいきます」 「ええ」 「それじゃあ、美穂ちゃん。またね」 「……う、うん」 ばたばたと慌てて藍子は立ち上がり、楓と一緒に給湯室から出て行く。 そんな一連の流れを美穂はぽかんとしながら眺めていて。 やがて美穂一人になった時、ふーっと大きな息を吐いた。 ちょっと前に進めるかなと思ったけれど、タイミングが悪かったらしい。 少し残念だなと思うけれど、機会はいくらでもある。 だって前に進もうと思っているから。 手をさしのばすことなんて、思いさえあればいつでもできる。 それが、きっと前を向いて生きることだと思うから。 「うん。また後で聞いて…………あれ? ……藍子ちゃん、忘れてるや」 自分もネネ達の下に戻ろう、そう立ち上がろうとした時、美穂はテーブルの上の忘れものに気づいた。 それは藍子の携帯端末で、なぜかお茶を飲んでいる間ずっと見つめていたものだった。 楓に急に呼ばれて、慌てて出て行ったせいで忘れたのだろう。 美穂はそれを手に取り、うーんと考え込む。 どうしよう、藍子に届けにいこうか。 それとも、重要な話し合いをしてるみたいだし後にしようか。 でも大事なものだし。 美穂は少しそんな風に思案して、そして。 いきなり端末が手のなかで振動を始めて。 美穂は予想外の出来事に慌ててしまい、 「あわっ!? あわわわ!?」 端末を床に落としそうになるも、なんとかキャッチした。 冷や汗をかきながら、美穂は改めて落ち着き、画面を見て、そのまま固まってしまう。 予想外の出来事がもう一つ、起きた。 『相葉夕美』 そう、端末に表示されている名前。 藍子の仲間である夕美からの電話に、美穂は固まってしまう。 端末にこんな機能がある事を美穂は当然知らないし、誰からも聞いたことがない。 藍子の端末だけにそんな機能があるとは思えなかったし、彼女がそれを無闇に隠したりしないだろうとも思う。 なら、これはきっと本当にイレギュラーな事態なのだろう。 どうしよう、藍子に届けにいこうか。 美穂はそう考えるも、届けに行ってる最中に切れたら元も子もない。 ならば、自分が今ここで出るしかないのだろうか。 藍子の友達である相葉夕美からの電話を。 出ていいのだろうか。 それは駄目なんじゃないか。 「……でも……」 出たい。出なきゃ。 前に進みたい。 藍子のことをもっと知りたい。 そのためにこの人から話を聞きたい。 色々知りたいから。 知って前に進みたいから。 だから、これは美穂の独断でしかないけれど。 「……あの、もしもし?」 恐る恐る話しかける。 でも、意志はしっかりと篭っていた。 そう、美穂は話を聞きたかったのだ。 高森藍子の親友である、相葉夕美に。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「…………友紀ちゃんが、え? ……だって、さっきまで、……それに、友紀ちゃんは」 「美羽ちゃん、大丈夫?」 「わ、私…………」 緒方智絵里のもたらした情報は、矢口美羽を絶望させるに十分以上のものだった。 傍から見てもそれがわかるほど青褪めている。 青褪めているのは彼女だけでなくて。 それだけ、智絵里が持ってきた情報は泉達にとって大きく、絶望的なものだった。 「悪役……やっぱりいたなんて……それも五人も」 「その内二人はすぐに落ちた……けど、何人もいたということは確か。……ねぇ、貴女達以外のことはわからないの?」 「えっと、その……楓さん。……それは、わかりません。けれど、少なくとも、私を含めた五人は確実にそうだったんだと思います」 泉達が、最初に提起した、殺し合いを促進させるための『悪役』という存在。 それに近しい立場にいたのが、緒方智絵里を含めた五人だという。 智絵里の他は、若林智香、五十嵐響子、大槻唯、相川千夏という同じプロデューサーにプロデュースされているアイドルだ。 そのアイドル達は、共通の装備を持って他のアイドルと区別されていた。 「それが、その爆弾って言う訳ね……あの役場で火災を起こした……」 「手榴弾。……けど、楓さん。彼女達の誰かが私達を襲ったわけではないと思いますよ」 「泉ちゃん……どういうこと……?」 「歌鈴さんが死んだのは、二回目の放送から三回目の間。その間、既に亡くなっていた二人を除くと、緒方さんと五十嵐さんは飛行場に」 「はい、そこで私は響子ちゃんの死を看取りました」 「そして、相川千夏さんは水族館にいたことが明らかになってます。だから、あの時私達に向けて爆弾を使ったのはまた別の人です」 「じゃあ……」 川島瑞樹の声に泉はこくりと頷く。 あの役場の前には若林智香の遺体があった。彼女から爆弾を奪った者があそこで待ち伏せていたという可能性がある。 もしくは、どこかで大槻唯から爆弾を奪った者が自分達をあそこで偶然見つけたのかもしれない。 「誰かが……あの爆弾で……」 智絵里がぽつりと呟く。 自分の仲間が殺されて爆弾が奪われたこと、その爆弾が更に他の人を殺すために使われていること、それが悲しいのかもしれない。 「しかし、これでひとつ不可解だったことが解明されました」 パズルのピースがひとつ揃うと、次に当てはまる所が見つかるようにもたらされた情報は不明だった事実を明らかにする。 それは、歌鈴が死んだのと同じ時間帯で起きた事だ。 「水族館で亡くなった岡崎泰葉さんと喜多日菜子さんら二人は……」 「……相川千夏によって殺された?」 「川島さんもそう思いますか?」 「そう考えれば辻褄があうという話だけれどね」 「双葉杏は逃げる事が出来たか……」 「もしくは手を組んだか。……勿論、可能性の話よ」 「いずれにせよ、状況はよくないわ」 水族館で死んだ岡崎泰葉と喜多日菜子。 何故死んだのかは、その場にいた相川千夏が悪役だったということで大方想像できてしまう。 殺し合いに乗ってないと嘘をついて潜り込み、隙を突いて二人を殺した。 それが納得できる答えで、そうでなければ二人の死に理由がない。 同行している双葉杏は、逃げる事が出来たか……同じく殺し合いに乗っていたか。 想像は出来るものの、後の方はあまり考えたくない話だ。 「留美ちゃん、やっぱり……」 「楓さん?」 ぽつりと呟かれた楓に床を見ていた美羽が頭を上げる。 けれど、楓は美羽のことを振り返ることなく智絵里へと質問を投げかける。 「ええと、もう一度確かめるけど。智絵里ちゃんと留美ちゃんが飛行場で二人。そして響子ちゃんの三人を殺したのね?」 「……はい、そうです。……それで、あの、楓さん」 「何?」 「ナターリアちゃんや光ちゃんの最期。どんな風にに生きたか、聞かなくて――」 それは美羽も気になることだった。 あのきらきらと輝く眩しさを持った二人がどうなってしまったのか。なにか残ってはいないのか。 なのに、 「ううん。聞きたくないわ」 「……どうして、ですか?」 「そんなことを聞いても、辛くなるだけでしょ?」 楓はそれを聞かなかった。 聞けば辛くなる。それは正しい言葉で、でも美羽はそれは本当ではない気がして。 ただ、何も言えなくて、楓の無表情な横顔を見てるだけだった。 そして、そんな楓は留美が二人を殺したと聞いてひとり心の中で笑みを浮かべていた。 やはり推理していた通りで、その通りに留美がナターリアと光を殺した。 本当にそうなるかはわからなかったが、そうなって良かった。 だからもう、どう生きたか、どう死んだかなんて、彼女達のことなんて、どうでもいい。 緒方智絵里が、困惑したように見てくるが、楓には知ったことではなかった。 そして、泉達にとって最も大切な情報。 この警察署をたったひとりで離れていってしまった仲間。 泉と瑞樹は沈痛な表情で、その名前を呼んだ。 「…………そして、友紀さん」 「……彼女も、悪役……ね」 「…………どうして……そんな……」 「……本当に、悪役になったと彼女は言ったのよね……?」 「はい」 「……そう、バカね……あの子も……私も」 姫川友紀。 様子がおかしくなっていると思ったが、まさか彼女自身が悪役になろうとしていたとは泉も瑞樹も予想していなかった。 彼女がそんな重たい決断をしていたことに気づけなかった自分自身にも不甲斐なさを感じて。 しかも、 「……茜ちゃんはいなかったのよね?」 楓の冷徹な声が響く。 「はい。そんな気配は……」 「まどろっこしいから、もう直に聞くわね」 「楓さん……?」 「姫川友紀は、『誰か』を殺していそうだった? 直接会ったというのなら、そうかそうでないかはわかりそうなものだけど」 あまりに直球な言葉に、智絵里だけでなく、泉と瑞樹も絶句する。 それは誰もが思っていたことで。 友紀を追った日野茜は未だに帰ってきてない。 なのに友紀は一人だった。 友紀が逃げ切ったともいえるが、なら茜はどこにいるのだろう。 彼女なら友紀を探して島中を走り回るかもしれないし、今もどこかを走っているかもしれない。 けれど、それは楽観論だ。 もっとわかりやすく道理の通った答えがある。 姫川友紀が日野茜を殺した――可能性がある。 そして、それを判断できるのは、友紀と会い、自分も殺し合いに乗っていた智絵里しかいなくて。 皆が注目する中、智絵里は目を閉じて、友紀のことを、あの時のことを思い出す。 まるで血を吐きながら、それでも進もうとする友紀は。 もう戻れないことを知っているような友紀は。 そして、自分に銃を向けた友紀は。 「……はい。そう、だと思います」 嘘はつけないと思った。 あんな躊躇いも無く引き金を引いた友紀はきっと、もう自分が戻れないと思っているから。 そんな所までいってしまったから。 それは余りにも哀しくて。 「……そう」 「……っ」 何故、彼女はそこまで追い込まれたのだろう。 どうして相談してくれなかったのだろう。 きっと彼女はいつも、助けてほしいとメッセージを放っていたはずで。 どうしてそれに気づくことができなかったのか、泉と瑞樹は心の中を悔恨の念で埋め尽くす。 「…………ねぇ、それなら藍子ちゃん呼んできたほうがいいと思うのだけれど」 「そう、ね。きっと彼女も聞く必要があると思うわ。……美羽ちゃん?」 ころころと口を挟む間もなくその可能性は肯定されてゆき。 友紀が茜を殺したということにされて。 それは理解できることだけれど、理解したくないことで。 美羽はただ悲鳴をあげないように口を塞いでいることしかできなかった。 どれだけ頭の中で理屈がわかっても、心がそれを拒否している。 「…………美羽ちゃんに呼びに行ってもらうのは無理っぽいわね。いいわ、私が行ってきます」 一度、ぽんと美羽の頭に手を乗せると、楓はそう言って部屋を出て行った。 振り返った、自分を見る楓の表情はこちらを気遣って、いつもの優しい楓さんで。 美羽はほっとすると同時に、どれが本当の彼女の顔なのか疑問が浮かんで、友紀もそうだったのかなと思う。 あの自分を励ましてくれた友紀も、誰にも言わずになにかを抱えて――、 「あっ、私……、ネネさんのところに戻って、ネネさんのこと一人にしておけないからっ!」 「美羽ちゃん!? ちょっと……!」 美羽は部屋を飛び出した。 頭を抱えて暗い廊下を走る。どこに向かっているかもわからないで。 その中を満たしてるのはひとつの可能性。 フラワーズの為に『悪役』になる。 それは自分の言葉で。友紀にぶつけた言葉で。自分が叶えられなかった言葉だから。 「……どうしようっ! どうしようっ!」 涙の溢れる両目を押さえ、美羽は真っ暗な廊下を走っていく。 「泉ちゃん……大丈夫?」 「……ええ……ですが、状況は……どんどん悪くなって……こんな……そんな……」 ただ耐えるように立っている泉に、瑞樹は小さく溜息をつく。 美羽のことは放っておけず不穏で、けれど、顔を手で押さえて俯く泉は、本当に苦しそうで。 どんどん袋小路に追い込まれていく気がした。 「和久井留美が殺し合いに乗っている側で、相川千夏は悪役だった……双葉杏も乗っている疑いがあって……そして、友紀さんが悪役になったとして……」 「……殺し合いに乗っている人物が多いわね」 「……ええ、悠長に首輪解除している暇なんてあるのかさえ……」 「でも、首輪を解除しなきゃ、私達は……」 「解っています……だから、もう」 緒方智絵里がもたらした情報は、殺し合いを打倒しようとするアイドル達にとっては良くない事ばかりだ。 和久井留美、相川千夏、双葉杏、そして姫川友紀が殺し合いに乗っているならば。 殺し合いに乗っている人物は推測以上にいたことになる。 しかも、智絵里の話によれば留美も千夏も相当な人を殺めている。 そんな状況で悠長に首輪を解除している暇などあるのか。 だが、首輪を解除しなければ何時までも縛られたままだ。 それに脱出手段もまだ確保できていないのだ。 どうすればいい、どうしたらいいのか。 「もう……なんだろ……これ」 そして、泉の口が漏れる言葉は 「……ぜつ――」 『絶望』 その余りにも、全てが終わった言葉を口にしようとして。 「――――それは、違う」 絶望を、『希望』がとめた。 泉が振り返ると、そこには輝きを無くしていない智絵里がいて。 俯かず、ただ、前を向いていて。 「諦めちゃ駄目なんです。どんなに苦しくても、困難が待っていても」 「でも、実際、追い込まれているのは確かですよ」 「けれど、まだ終わっていない。わたし達は終わりじゃないんです。夢を叶える為に、わたし達は強く在れる」 「夢……?」 「わたしは……いろんな人の夢を背負っています。自分の意志で。追い込まれてるからって諦めたくない」 ナターリアの夢。 南条光の夢。 そして、五十嵐響子の夢。 全部、大切な夢で、そして自分の夢でもある。 だから、苦しいからって。 だから、追い込まれているからって。 「こんなのへっちゃらです。いつだって乗り越えてきたんだ。そしてこれからも乗り越えられる。だってわたし達は『アイドル』だから」 諦めることは絶対しない。 いつだって自分達の前には壁があって。 それを乗り越えて、此処まで来たのだから。 アイドルってそういうものだと思うから。 「だから、泉さん……諦めないでください。壁があるなら乗り越えればいい……わたし達は独りじゃないんです。仲間とプロデューサーが、いる」 そして、独りじゃなかった。 智絵里には、背を押してくれる友達がいて。 そして、見守ってくれるプロデューサーがいた。 だから、こんな所で挫ける訳にはいかない。 「まだ、独りじゃないんだ。哀しみも苦しみも、皆で乗り越えよう……だから、まだそんなのじゃないですよ」 独りじゃないなら絶望じゃない。 此処には同じ志を持つ仲間がいるんだ。 だから、乗り越えていける。 智絵里は、そう思うから。 だから、泉にも諦めないでいて欲しい。 「緒方さん……」 泉はその言葉を受けて、胸に手を当てて考える。 そうだ、まだ、まだ早い。 何より、私は彼女にこういったじゃないか。 『彼女が諦めないなら! 私が、諦めるわけには、行かない! 彼女が私を信じてくれてるから! 私も彼女を信じる!』 きっと栗原ネネは諦めてない。 泉を信じて、今も戦っているだろう。 いつ再発するかも解らない発作の恐怖に。 それなのに、自分は諦めようとする。 なんて、独りよがりだろう。 そうだ、独りじゃないんだ。 だから 「はい……そうですね。まだ、やれる。病院にも仲間がいるのだから……まだ終わってない。私達はまだ諦めたりしない」 「はいっ!」 諦めるわけには、いかなかった。 泉は決意を新たに、パシンと気合を入れるように頬を強く叩く。 まだ、まだ終わってない。 だからこそ、しっかり前をむいてなきゃ。 まだ、何も絶たれていないのだから。 「………………智絵里ちゃん、本当強くなったわね」 「…………えっ?」 「何となく、そう思っただけよ」 その様子を見ていた瑞樹は、緒方智絵里の変わり様に驚いていた。 この子は励まされる事はあったとしても、励ます側に回る子ではなかった。 それが今や、泉をこんなにも支えて。 智絵里自身も、自信に満ち溢れてるようにさえ思える。 智絵里が経験した響子との別離に、彼女を変える切欠があったのだろうか。 その姿は、まるでちひろが言っていた『希望』そのもので。 (もしかして、ちひろはこの子のような――――) 瑞樹がちひろの意図を何か掴もうと考えようとした時。 「藍子ちゃんを連れてきたわよ」 不安と期待の両方を胸に秘めた、藍子が会議室に顔を出した。 智絵里が、藍子に気づくとぺこりと頭を下げて、 「あ、あの緒方智絵里といいます……よろしく、お願いしますね」 「はい、よろしくお願いしますねっ、智絵里ちゃん。高森藍子です」 簡単な自己紹介をする。 とはいっても、智絵里は高森藍子のことは、知っていた。 フラワーズのリーダーで事務所の顔なのだから知っていても当然と言えば当然で。 改めて自己紹介することが少し変な感じもした。 「細かい事は後にして……、智絵里ちゃん、藍子ちゃんに友紀ちゃんの事、出きる限りで話してもらえるかしら」 「……会ったんですか!?」 「……はい。今から話しますね」 瑞樹に、促されるように智絵里は友紀のことを話し始める。 智絵里が友紀に会った事に藍子は驚いていた。 まさかこんなにも早く人伝に彼女のことを聞くとは思ってなくて。 そして、智絵里が会っているということは…… 「………まず、わたしは殺し合いに乗っていました」 「……えっ」 「悪役として……けど、わたしはその立場が降りて、アイドルとしてもう一度、いきたいと思って」 「……よかった」 智絵里が悪役だったというのに、藍子は驚いて、アイドルに戻ったと聞いて、心の底から安心したようだった。 アイドルという言葉に、藍子が過敏に反応していたのを見て、智絵里は不思議に思うも、話を続ける。 藍子にとっての本題はこれじゃない。 「そして、友紀さんに会いました」 「友紀ちゃん一人……?」 「はい。そして、わたしが悪役だったと言う事を告げると……」 二の句を告げる前に、智絵里は藍子の顔を見つめる。 不安でたまらないという表情で。 更に曇らせてしまう事を理解したうえで、真実を続けた。 「……わたしを殺そうとしました。 全く容赦はなかったです」 「……っ!?」 「気付かなきゃ、多分わたしは殺されていました。友紀さんは、仲間を護るために『悪役』になったって言いました」 「……そんな」 友紀が人を殺そうとした事実。 友紀が悪役になった事実。 藍子にとって、その何もかもが重たくて。 思わず智絵里から、顔を背けてしまう。 智絵里はそんな藍子に、追い討ちをかけるように言葉を続ける。 辛いだろうけど、彼女が知らなきゃいけない事だから。 「仲間達の夢を護る為に……って。悪役を殺すって……そして」 「……」 聞きたくない。 藍子がそう思ってるのは、理解できた。 でも、告げなきゃ。 「――――もう人を、殺していると思います」 姫川友紀が犯したであろう罪を。 「……………………そう……ですか」 藍子は、それを目を背け顔を青くしながらも、でもちゃんと聞いていた。受け入れていた。 嘘だろう、憶測だと叫ぶ事だって出来たのに。 そう、言えなかった。 それが事実である事を、察した、信じた。 だって、友紀と別れた時の友紀の表情を思えば、そうとしか思えない。 そして、殺したというのなら 「……茜ちゃんって可能性は高いわね」 「……か、楓さん……そんなことないですよ。友紀ちゃんが茜ちゃんを殺す理由なんて」 「じゃあ、何で彼女はまだ帰ってきてないの? 貴方が帰ってきて大分たつし……それに、姫川友紀は一人で智絵里ちゃんと会ってるのよ?」 日野茜である可能性は、極めて高い。 楓は、静かにそう継げた。 藍子は慌ててそれを否定するが、虚しく響くだけで。 今、この場に茜が戻ってきていない。 友紀が独りで智絵里とあったこと。 もう、それが答えのように、感じてしまう。 「連絡をよこさない子でもないし……いずれにせよ……それは、次の放送でわかることだわ」 「……っ……そんな、茜ちゃん……なんで」 「……『なんで?』 貴方が『なんで?』というの?」 藍子が自失気味に呟いた言葉に、楓はどこに触れたのか強く反応した。 楓は藍子を真正面に捕らえて、ただ睨む。 「貴方が、姫川友紀を止めようとするのは、勝手。けれど、そこに茜ちゃんを巻き込んだ貴方が、なんで?というの?」 「でも、茜ちゃんは自分から……」 「危険があるなら、止める事も出来たでしょう? 茜ちゃんがついてくるのはわかるでしょう」 「……それは」 「勝手に行動する事の危険性は、泉ちゃんも私も……皆説明したでしょう?」 日野茜が死んだというならば。 藍子に責任がないとはいえない。 友紀が勝手に離れたとはいえ、それを相談もなしに追いかけようと決めたのは藍子なのだから。 藍子が行くというなら、茜がついてくることも想像できたはずだ。 「そして、姫川友紀が茜ちゃんを殺した」 「で、でも、私は友紀ちゃんがまだ戻れるって思って、同じフラワーズの仲間だから……皆同じ『アイドル』なんだから、きっと戻れるって」 「……そういう貴方の子供じみた理想で、茜ちゃんが死んだのかもしれないのよ?」 あぁ、今ようやく解った。 楓は、そう心のなかで思った。 なんで、今こんなに藍子に苛立ち、弾劾するように言葉をぶつけているのか。 その理由が。 「貴女の独りよがりの理想で、姫川友紀を説得するのは貴女の勝手。フラワーズの仲間だものね。 でも、巻き込まれた茜ちゃんは違う。いつだって、貴女が止めれば、貴女自身が止まれば、止まったはず。 なのに、貴女が意地を貫いて、自分で全てを解ったように、巻き込んだから、彼女は止まらなかったよ」 まるで、一緒だ。 佐久間まゆを殺しておいて。 勝手に自分達のなかで解決して。 進もうとしたあの子達のようで。 高森藍子の思いは、きっと、そういうものなんだ。 「それが、茜ちゃんを殺したとしても、貴女は、その考えを貫くの? ……いいえ、貫くでしょうね、貴女ですもの」 そして、きっと彼女は変わらない。 だって、ほら、彼女を表情を見てみろ。 こんなにも、糾弾されてるのに。 高森藍子は、困ったように笑って。 全てを受け入れようとしている表情なのだから。 そんなの、残された人間が全部を受け入れることなんてできないのに。 「……楓ちゃん、止めなさい」 楓を静止したのは、やはり瑞樹だった。 今回ばかりは瑞樹も、険しい表情を浮かべていた。 仲間を強く否定したのだから、当然ともいえるのだが。 「茜ちゃんがどうなったかはまだ言えないわ……憶測で全てわかったように語っては駄目よ」 「それも、そうね……ごめんなさい」 「兎も角、今は友紀ちゃんが明確に、仲間を護る為に『悪役』として動いている事……人を殺したかもしれないこと……藍子ちゃん、それだけを理解してちょうだい」 「……わかり、ました」 茜がどうなったかはわからない。 確かにそうなのだが、もう皆何となく理解している。 だから、瑞樹の制止もこれ以上事態がエスカレートしないのを止めるだけでしかない。 けれど、それで今は充分。 藍子が、友紀のしたことを受け止めればいいのだから。 「……解りました……御免なさい、泉さん、瑞樹さん……ちょっと、一人で考えさせてもらっていいですか?」 「……そうですね、いいですよ。少し休んできてください」 「……解りました」 そうして、また逃げ去るように、藍子は会議室から出て行く。 楓と一緒にいたくなかったのかもしれないと、泉はそんな風に彼女の後姿に思った。 「貴方も、少しは仮眠をとりなさい、泉ちゃん」 「……え?」 「全く寝てないでしょ。寝なさい」 「でも……」 「でも、もないの。少しでも寝ないと、肝心な時にいい仕事ができないわよ」 「……解りました」 瑞樹に言われて、泉もようやく気づく。 そういえば、殺し合いが始まったてからずっと、一睡もしていない。 休んでいる暇は無いと自分に言い聞かせて、此処までそれを無視してきた。 けれど、もう丸一日以上起きている。 それを意識したら、途端に眠気がやってきて。 「御免なさい……ちょっと休んできます……すぐに戻ってきますので」 泉は、重い体を引き摺って、会議室から出て行く。 その様子をみて、瑞樹はふーっと息をつく。 彼女は自分自身が思っている以上に疲弊していて、顔色にもそれが表れていた。 「…………本当……上手くいかないわね」 吐き出すようなその一言が、今の状況を全て、物語っていて。 はぁと、もう一度、大きなため息を、瑞樹は吐いた。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 仮眠室のベッドにたどり着く頃には、私の意識は大分朦朧としていた。 やはり思ってた以上に、身体は疲労していたんだろう。 一度そうだと気づいてしまえば、後は雪崩のように押し寄せてきて止まらなくなる。 私はそのまま、服が皺になるのを躊躇わずにベッドに倒れこんだ。 うつぶせのまま、そして……意識が落ちるまでの間に今とこれからのことを考える。 正直、友紀さんと茜さんの離脱はこの上無く辛い。 人数が減るだけではなく。 彼女達は、私達の中でも特に体力があって活動的な二人だったからだ。 その運動神経の塊のような二人が抜けるというのは、それを必要とする場面でそれが得られないことを意味する。 探索からなにかしらのお使い、ものの移動、とか? 港に動く船を捜しにいくのも、学校にまたスタッフの手がかりを探しに行くのも、もう残っている人の中でしなくちゃいけない。 けれど、ネネさんはああなってしまったし、川島さんだってそう見せないけど重症の身だ。 どちらもつきそいが必要だ。 ネネさんはいつ発作が起きるかわからないし……あ、図書館から持ち帰った医療の本に目を通しておかなくちゃ。 そういえば、川島さんがここまで乗ってきた車椅子は今どこにあるっけ? …………戻ってくるまでは全てが順調だと思えたのに。 考えが甘かったんだろうか。たったひとつの躓きで予定は全て崩れて、行き先はもう見えない。 よかったと言える点は緒方智絵里がこちらに加わったことか。 人手にもなるし、なにより彼女の持っている情報は私達だけだと知りえなかったものばかりだ。 もしかすれば彼女から千川ちひろや運営のことも知ることができるかもしれない。 起きたら、また話を………………。 ……あぁ、話といえば、茜さんと友紀さんのことをみんなに知らせるのは気が重たいな。 ………………。 後。 北の病院に向かった渋谷さんのことを信じよう。 彼女が病院にいるグループのみんなと、そして探している島村さんと帰ってくればそれだけでも十人になる。 この島にはまだ行方の知れない人もいるし、私達の仲間は……。 ………………。 人数が増えればできることも増える。 適切に配置すれば、抜けた分の穴を埋めることも……。 ああ、いやだな。 大事なアイドルとしての仲間をまるでゲームの駒みたいに。 駄目だ、そんなの。 それじゃあ、私達に殺し合いをさせている誰かと一緒じゃないか。 私達は、アイドルで、誰もがひとりひとりかけがえのない輝く光なんだ。 きっと、私だって。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「……んー」 泉も去り、最後に会議室に残ったのは、智絵里と瑞樹だった。 楓も休むといってこの部屋を去っていった。 みんなバラバラで、それはまるで今の状況をそのまま表しているようで。 しかしそんな考えを振り切るように瑞樹は頭を振る。 そして、智絵里に声をかけた。 「ねぇ、何か気になることがあるのかしら?」 「……えっ、ええ……」 彼女はずっと何かを言いたそうにしていた。 それでも言えないのは、いつもの彼女らしくて、瑞樹は話せるようにと助け舟を出す。 「言い辛いこと?」 「……はい」 「なら、今なら私しか居ないわ。言ってくれないかしら」 「……憶測ですよ?」 「それでも、いいから」 智絵里は一度俯くと、顔を上げて小さな声で話し始めた。 それは泉から殺し合いに反対している人物の情報を聞いてからずっと、疑問に、或いは不安に思っていたことだ。 「……北の病院に集まってる人……少なくとも、第三回放送ぐらいには居たんですよね?」 「恐らく、そうだと思うわ」 「そして、今もいる可能性が高いんですよね」 「そうね」 「だとするなら…………」 すっと、智絵里は自分の懸念を口にする。 「――――とても危ないと、思います」 「どういうこと……?」 「病院ですよ? 怪我した人が集まってると思うから……きっと、殺そうとする人も近寄ります。 実際、わたしはあの病院に一度行っています。響子ちゃんもそうでした」 「…………なるほど」 「そして、北には……留美さんがいるんです」 「…………っ! まさか」 「長居したら……いけないと思います」 瑞樹は、智絵里の指摘にはっとしたように、驚く。 病院は平時には怪我をしたり病気になった人がいく施設だ。 殺し合いの舞台でも、大きな怪我をしたなら向かおうとするだろう。 そこに、何かしらの治療器具や薬があるはずだから。 実際、瑞樹達も可能であるなら向かおうとしていたし、今病院にいるアイドル達もそういった理由で病院にいる。 殺し合いに乗ってない人物が、そこを拠点にするのはある意味、理にかなっているだろう。 だがそれは、裏を返せば殺し合いに乗ってる人物にとっては絶好の獲物が集まる場所ということになる。 ずっと留まっているというなら、殺し合いに乗っている人物に遭遇する可能性はその分高まる。 そして、北には、和久井留美がいる。 和久井留美が病院に行ったら……、 「…………それは……ちょっとどころじゃなく不味いわね」 「だから、わたし……此処を拠点しているのは流石だなと思ったんです」 「それは?」 「えっと……武器があると思うから……逆に殺し合いにのってる人は迂闊に乗り込みたくない」 警察署には何かしらの武器があると考えられるだろう。 だが、殺し合いに乗っている人物が安易にそこに寄って来るかというと、少し違う。 もうすでに他の人物が、殺し合いに乗っているいないにしろ、いるとすると、外から攻めるほうが不利に決まっている。 瑞樹達が警察署を選んだのは偶然の部分が大きい。 それに実際には警察署に武器はあっても、倉庫には鍵がかかっていて使えなかったのだから。 けれど、智絵里の説明に瑞樹は感心した。 「私も怖かったですけど……、こっそりするのは得意だから。……えへへ」 そう無邪気に笑う智絵里が、瑞樹からは少し怖い。 瑞樹は考える。 (役場で襲われた時は一瞬だった。いきなりで……、さっきだって智絵里ちゃんがその気なら、今頃は……) 殺しあうということそのものをまだどこかで甘く見ているんじゃないかと。 誰だって、いつもは虫も殺せないような智絵里ですら一度は『悪役』になって、自分達の隙を突いてみせた。 歌鈴が殺されてしまうところを実際に目の当たりしたというのに、同じアイドルだからという言葉に逃げていたのだろうか。 だとすれば、もう一度、しっかりと向かい合わないといけないのかもしれない。 アイドルがアイドルを殺すということ。 怠れば、待つのは死なのだろう。 姫川友紀が、人を殺してしまったように。 覚悟さえ、あれば、人は引き金を引ける。 自分には、それが無かっただけで。 殺意さえ、あれば、人は人を殺せるのだから。 「病院にいる人達と連絡を取る手段を考えた方がよさそうね」 「はい……それがいいと思います」 「教えてくれてありがとう」 「いえ……わたし、藍子さんのところに言ってもいいですか……彼女の話聞いてみたいんです」 「いいわよ」 そうして、智絵里はぺこりとお辞儀をして、会議室を出て行く。 残されたのは瑞樹だけで。 「………………ねぇ、ちひろ。こんなにも絶望的な状況を作り出して、その先に……貴女、何を見ているの?」 そうして呟いた言葉は、誰にも届くことなく、ただ残されていった。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 『……あの、もしもし?』 決死の思いで、私は電話をかけたのに聞こえてきたのは、藍子ちゃんの声じゃなかった。 少しおどおどして、此方を探るような声。 フラワーズの誰でもない、初めて聞く声だった。 「藍子ちゃんは?」 だけど、今はその声の主が誰かなんて気にしていられない。 私が電話をかけたのは藍子ちゃんで、藍子ちゃんの端末に繋がるはず。 それなのに、別の人が出るなんて、藍子ちゃんに何かあったのか。 それが、気になってまず藍子ちゃんの安否を確認する。 『今、離れていて。でもすぐ、戻ってくると思いますよ。藍子ちゃんは、大丈夫です』 「……そう、よかった」 『……あの、相葉夕美さん……ですよね?』 「うん、そうだよ……えっと、貴方は……?」 藍子ちゃんの無事を確認して、私はやっと今話している人を訪ねる。 生き残ってる人は大分少なくなったけれど、それでも知らない人は知らない。 相手は、私のことを知っていたみたいけれど。 それとも、通話がかかってきた時点で、私の名前が出ていたのかも。 『あっ……小日向美穂といいます』 「……あぁ、あの」 小日向美穂。 名前は知っている。 というか彼女のプロデューサーを知っているからその縁で。 どういう子はあまりよく解らないけど。 「藍子ちゃんが無事なら、よかった。じゃあ、またかけ直すね」 私は、そのまま電話を切ろうとする。 正直な所、藍子ちゃんと話せればいい。 藍子ちゃんが無事なら安心もした。 かけ直せるかは解らなかったけど、千川ちひろが藍子と話さない結末なんて選ばせないだろう。 だから、通話をきろうとボタンをタッチしようとして。 『待って!……切らないで!』 大人しそうな声から、一転して切羽した声が聞こえてくる。 最初の臆病そうな印象からすると、信じられないくらい大きな声だった。 私は何でだろうと思って、彼女に声をかける。 「何かな……?」 『あの……貴方の事、聞きたいんです』 「私?」 『フラワーズの歌姫……そして、高森藍子の親友である貴方に。藍子ちゃんのこと……貴方のこと……聞きたい』 「……親友か」 『はい……駄目ですか?』 親友、親友か。 今は、その言葉が怖い。 私は本当に彼女の友達だった? 殺そうとしたというのに。 解らない、解らない。 今、私は私のことと、藍子ちゃんの事を話せるのだろうか。 それに、私はこの子と話す理由がない。 だから、断る方がいい。 今は藍子ちゃんの事だけを考えていたい。 「私には貴方と話す理由がないよ」 『わたしがあるんです』 「……そっか」 正直、煩わしい。 なんでこの子は、そんなに私に拘るのだ。 フラワーズなら、他にも居るだろう。 友紀ちゃんも美羽も死んでいない、生きているのだから。 『わたし知らなきゃ……駄目だから……色んなこと、解らなきゃ、駄目だから……』 「そうなんだ……」 『だから、教えてください……! 傷を傷で終わらせない為に』 「…………」 切実。 その一言で、彼女の様子を語れるぐらい、彼女は必死だった。 私はその声を聞いて、どうしようかと思う。 すぐに切る事は出きる。 けど、今の私の心をみて。 「解った。いいよ。その代わり……私も、貴方のこと、藍子ちゃんのこと、教えてもらってもいいかな?」 彼女と話す事もいいかなって。 千川ちひろに惑わされた心はまだ揺れている。 そして、私は自分の心がよく解らなくて。 こんな私じゃきっと全部さらけ出してしまう、藍子に。 いいこともわるいことも、全部。 それはどうしても嫌で。 だから、彼女と話して、私は心を落ち着けよう。 そう考えたのだ。 『は、はい!』 「うん、じゃあまず私から聞いてもいい?」 『はい』 「藍子ちゃんは、『アイドル』だった?」 まず、何より藍子ちゃんのことが聞きたい。 そう思って口にした言葉は、私にとっても意外な言葉だった。 元気とか、怪我してないとかじゃない。 何故か、アイドルでいることを私は聞いた。 やはり、ちひろに心を乱されているままなのだろうか。 考えなくても、解るというのに。 『え、ええ。そうですよ。フラワーズのリーダーとして、彼女は居続けた……と思います』 「そう。いつも通りだった?」 『いつも通りなのか、私には解らないけど……友紀さんも、美羽ちゃんも変わらないと言ってました』 「……そう、他の皆は一緒に居るんだね」 『……今は、美羽ちゃんだけですけど』 藍子ちゃんは、やっぱそのままだった。 美羽ちゃんや友紀ちゃんから見ても、そう見えるぐらい。 あの子はフラワーズのリーダーとして其処に居たのだろう。 あの子は、あの子のまま。 多分、きっと。 友紀ちゃんが居ないのは、千川ちひろの通話で何となく察した。 彼女はきっと、道をたがえたのだろう。藍子ちゃんと。 ……私達を護る為に。 「ねぇ、貴方はずっと藍子ちゃんと居たの?」 『ううん、わたしは一回目の放送があった後に、出会いました』 「そうなんだ」 『でも、わたしは彼女と反発しあってました』 反発……か。 藍子ちゃんがアイドルとしてあろうとするなら。 それは起きることなのかもしれない。 全てから逃げていた私には解らないかもだけど。 「なんで?」 『わたしは一緒に居た人を、同じアイドルだった人に殺されました』 「……っ……そう」 『そうして、傷ついてた時、彼女……藍子ちゃんに出会ったんです』 人が死んでいるということは、殺してる人がいる。 今までそれを絵空事に捉えていたけど、それは紛れもない現実なのだと、思い知らせる。 隣にもし、誰が居て。 その人が殺されたら、私はどう思うんだろう? そんな事考えたらブルッと身震いが起きた。 もし、そんな時、藍子ちゃんに会ったら。 あの子は何をするんだろう。 ううん、あの子はきっとやる事なんて決まってる。 きっと、立ち直るまで傍によりそ―― 『あの人は、私に、アイドルで居るように、一緒にいた子の分も継いで、一緒に頑張ろうと手を差し伸ばしました』 えっ……なに、それは。 あの、藍子ちゃんがそんな事を。 そんな傲慢で、彼女自身の強さを押し付けるのか。 馬鹿な、あり得ない。 私が知る藍子ちゃんは、違う。 あの子は、優しくて、いつも寄り添う形で……えっ……そんな筈がないよ。 「そ、そうなんだ……」 私の声はきっと驚くぐらい震えていたと思う。 あり得ない事を聞いて、動揺しているのが自分自身でもよく解る。 でも、今、彼女を否定する事は出来なかった。 彼女自身がとても嘘をついているようには、聞こえなかったから。 もしかしたら、藍子ちゃんのその変わり様が解ると思ったから。 だから、今は彼女の話を聞くことにした。 『でも、わたしは拒絶しました。わたしは、そんな彼女のように強くはなかった、決して……私は弱いままだったから』 藍子ちゃんの諦めない、あの強さは、時として刃になる。 そんな事は藍子ちゃん自身が何よりもわかっているはずなのに。 だから、藍子ちゃんは、いつも寄り添うはずなのに。 その人の位置でずっと、優しく。 なのに、どうして……? 『そうやって反発しあって。わたしはわたしの弱さから、悪魔の誘惑に負けそうになって』 悪魔としか、彼女は言わなかった。 でも、それで誰かは何となく解った。 色々介入しているようだったし、きっと彼女にも何かやったんだろう。 相変わらず小狡い女だなぁ。 公平性も何もない。 『わたしは、かたくなな彼女を、藍子ちゃんを壊してみたいと思いました、大事なものを奪ってみたいって』 「かたくな……?」 『彼女は、反発している間も、ずっと私を『アイドル』にしたがってたから……何故かはあの時解らなかったけど』 …………どうして? あの子が、そんなに拘るなんて。 ……なんでだろう。 これ以上、藍子ちゃんのことを聞きたくない。 頭の中で、藍子ちゃんのことが解らなくなっていく。 私が知っている、私の藍子ちゃんは…… どうしよう、不安になってきて。 これ以上、藍子ちゃんの話を聞きたくなかった。 だから、 「でも、貴方……今は前を向いてるみたいな感じがするけど、どうかな?」 『ええ、その後、彼女に救ってもらったから』 「……そう。なら、私、貴方のこと、聞きたいな。小日向美穂という貴方自身を」 この子の事を聞こうと思った。 救うという言葉にまた不安になるも、今はこの子の事を聞きたい。 自分自身をただ弱いと言うこの子の事を。 それでいて、今はもう芯がしっかりと入っているように感じるこの子の事を。 私は不安から逃げつつも、純粋にこの子の事が聞きたかった。 「わたしのこと……?」 「そう。ねぇ、小日向美穂さん。貴方確か道明寺歌鈴さんと同じプロデューサーだよね?」 『はい、どうして……それを?』 「私のプロデューサーと知り合いだから……それで、私、逆にそれしか知らないの。貴方の事」 『プロデューサーと……』 「だから、教えてほしいな。貴方はどうして藍子ちゃんのことを知りたいのか。そして、貴方の弱さを」 小日向美穂。 私が知っているのは道明寺歌鈴と同じプロデューサーである事ぐらいでしかなかった。 だから、他の人と違ってこの子がどのように、この島で生きていたかは思い浮かばない。 ただ、自分の事を弱いと言う彼女はどうして、そうなったのか。 それを聞きたくて、私は彼女の言葉を待つ。 彼女はゆっくりと一回息をはいて、そして。 『わたしは、プロデューサーに恋をしていました。どうしようもないぐらい、切ないぐらい。大好きでした』 想いの告白。 自分を導いていく人への恋心を。 私はその言葉に胸をつくように感じていた。 それは、私も、そうだったから。 『でも、彼には、相手が居ました。それはわたしの親友でした。道明寺歌鈴という、わたしの大切な親友と想いあっていて』 そして、それすら、私と一緒だった。 道明寺歌鈴と彼女のプロデューサーが付き合っているのは噂で何となく知っていたけれど。 彼女に親友が居て、その親友――小日向美穂も同じ人を好きになってるなんて、知りようもない。 何だろう、これ……まるで自分の事を聞いてるようで。 どうして、そうなるんだろう。 『それはどうしようもない位、苦しくて、哀しくて、親友と大切な人が一緒になるから、嬉しい、祝福しようと思って』 まるで、自分の心の言葉を聴いているようで。 端末を握る手が強くなっていく。 『でも、そんなの出来る訳が無かったっ! でも、恨む事も当然出来なかったっ! 大切な人同士だから……もうごちゃ混ぜになっていって』 親友と好きな人が結ばれる。 それは私にとっても嬉しい筈で。 祝福できるはずなのに。 何故だろう、とてもそれをしたくなかった。 何もかもごちゃ混ぜになっていて。 でも、藍子ちゃんなら仕方ないかなって。 諦めようって思ったんだ。 だって、私は藍子ちゃん大好きだから。 『そんな時、わたしはこの殺し合いに巻き込まれました。 わたしはよく解らないまま流されて、藍子ちゃんとぶつかり合って』 それが、小日向美穂の恋。 それが、相葉夕美の恋。 一緒じゃない。 けれど、それは余りにも似ていた。 『そして、悪魔の囁きの後、気付いたんです……私はこの恋をまだ、諦められない。それが初恋だったから』 私は……私は諦められるのかな。 解らない。 けれど、このまま終わるのがいいのかと言われると、よくない感情が確かに、あった。 悔しいと言う思いがあった。 それは誰に? 藍子ちゃんに? プロデューサーに? 大切なものをとられるから? 『そして、わたしは思ってしまったんです』 そうして、二人は私の届かないところにいっちゃうから? そんな事を私は考えていたのかな? 私にとって二人は大切だから。 それは本当……? 『一瞬でさえ、道明寺歌鈴が居なければいいと。親友が居なければ、恋が叶うって』 …………っ。 私……は。 私は藍子ちゃんが居なければ恋が叶うって。 私は藍子ちゃんが居なければ夢が叶うって。 ねえ、思っていた? 解らない。 あぁ、彼女の言葉なのに。 まるで、自分自身のように、感じてしまう。 『それが、わたしの弱さの一つでした。 その弱さ故に、わたしはアイドルである藍子ちゃんが許せなかった』 「藍子ちゃんを」 『何もからも、強く『アイドル』であろう藍子ちゃんが。藍子ちゃんは何からも怖がってなかった』 「怖がってないってどういうことかな?」 『殺し合いに巻き込まれてもなお、自分の『アイドル』を貫こうとしていた藍子ちゃんが、羨ましくて、なんかずるくて』 藍子ちゃんは『アイドル』だった。 解っている、あの子はそういう強さを持つ子だ。 どんな時だって、ずっと。 でも、今はそれがなんだか怖い。 『正しいと思います。その姿は。でも、わたしはそれが認められない。ただの『恋する少女』だと思い込んでいたわたしには……』 ねぇ…… 私はどっちなのかな。 『恋する少女』? それとも『アイドル』? それとも、『高森藍子の親友』? 『だから、藍子ちゃんを苦しめようとしました。わたしは美羽ちゃんを狙うつもりで毒物を飲ませようと……御免なさい』 「…………そう。でも、今はいいよ。聞かせて」 貴方のことを。 私のことを。 何かがわかるような気がしたから。 『結果は行き違いがあって、わたしの友達が毒を飲みました。そして、わたしはその呵責に囚われた時思ったんです……何もかも中途半端だと……そして、死のうとした』 中途半端な自分。 藍子ちゃんのことが好きだ。 藍子ちゃんの応援をし続けていたい。 でもそれと同時に思うんだ。 どうして、私ばかりが諦めなきゃいけないんだ。 かなわないと思わないんだといけないんだ。 貴方ばかり……貴方ばかりと。 『でも』 そこで彼女は区切った。 まるで自分を見ているような彼女の独白は、形を変えようとしていた。 『高森藍子に助けられた』 あぁ……この子は、藍子ちゃんに救われたんだ。 藍子ちゃんはきっと手を差し伸ばしたんだ。 生きろって言ったんだ。 それは、私が知る藍子ちゃんとちょっと違う気がしたけれど。 それでも、この子は、『高森藍子』という存在に救われたんだ。 『彼女は言った。夢も恋も諦めないでって。それはとても強い想いの花束でした。 藍子ちゃんは、わたしと一緒だった』 アイドルであろう夢。 アイドルであろう恋。 あぁ、それは私にも確かにあって。 『『恋をして、そうやって、ずっと磨かれた、糧にして、今も強く、恋している!』と言って。それは、わたしが目指したアイドルで、なりたかったアイドルで』 わたしがなりたかったアイドルはなんだろう。 今はそれが解らなくて。 でも、この子はその言葉で救われたのだろう。 『あの子が、弱かった少女から強くなれたように、わたしも『アイドル』で居たいって』 誰だって強くなれる。 あの震えるだけだった、自信が無かった藍子が強くなれるように。 誰だって。 でもね、それだけじゃないんだよ。 強くても……弱くなることだってあるんだ。 『わたしは、弱いです。きっと今も……でも、わたしは前を向いていたい。やりたい事が一杯ある。歌鈴ちゃんの恋を応援したい』 「彼女は亡くなったのに?」 『それでも、彼女の想いを伝えなきゃいけないから……そして、わたしの罪にも向き合って、弱さにも向き合いたい』 彼女の罪は傍から聞いても許されるものではないだろう。 人を殺そうとしたんだもん。 けれど、 『それを抱えて生きて行く。この先どんな事あっても』 それは、一種の弱さから来る強さで。 『だから、わたしは知りたかった。生きて行くために。わたしを救ってくれた人の為に。いつか力になることがある時あったら、寄り添っていられるように」 そんな彼女は一種の正しさがあった。 …………あぁ。 この子は私だ。 恋に迷い。 友情に迷い。 そして、それに揺れた彼女は、中途半端に揺れて。 諦め切れなかった彼女は、私だ。 けれど、私であって、私でない。 私はそんなに、私自身の弱さを見つめてられない。 そんな弱さを抱えたまま、あの子の傍に居れない。 だから、私であって、私じゃない。 それでも、とても、『相葉夕美だった存在』に近しい。 「美穂ちゃん。教えてくれて、ありがと。 だから、教えてあげる。私のこと、藍子ちゃんのこと」 私は、きっと、彼女に、何もかも…… 「私は、貴方にそっくり。恋に惑って、諦めきれなくて。そんな半端な状態が嫌な貴方は、私みたい」 『えっ』 「私はね、藍子ちゃんが好きなんだ。優しくて、暖かで、前を向いているあの子が」 私は藍子ちゃんがやっぱり大好きだ。 それは変わりようもない事で。 だって、彼女の笑顔が私にとって、最高なんだから。 「彼女が、笑ってるのを見るのが好きで、彼女の『アイドル』は素敵で。だから、私は傍で応援しようと思ってたんだ」 『……そうなんですか』 「いつだって、傍で。一緒にいる事が幸せだった。彼女が幸せであればいいと思った……だって……」 『だって?』 「親友ってそういうものでしょ?」 「……はい」 私は藍子ちゃんの親友。 それは、何も変わらない。 だから、今、そう思えるうちに、伝えておこう。 「それが、私。 御免ね、上手く言えないんだけど……私は、きっと貴方にそっくりなんだよ……それが私が貴方に教えられる、私のこと……だから」 『だから?』 「藍子ちゃんを、よろしくね。ずっと傍に居てあげてね」 きっと、彼女だけは藍子ちゃんの傍に居て欲しい。 まるで、託すように、そう思えた。 だって、彼女は、私のようで。 私が『私だった頃』のようだった。 だって、今はもう、よく解らない。 悪魔に乱された私は、あの子が望む、あの子の親友でいられない。 なんだか、そう思うから。 「藍子ちゃんはね。ああ見えて、本当は臆病で、凄い弱いんだ。強いように見えるよね? でもね、違う。本当は泣きたいことも一杯ある。きっと、今も泣きたいのを抑えてるんだ。 でも、きっとそれをしない。あの子は、優しいから、泣けないんだ」 高森藍子という子は、臆病で、凄い弱い。 あの子は、何時だって優しいから、何時だって強いようにみえるだけ。 でも、あの子は優しいから泣けないの。 「だからね、支えてあげて。 私が知っている藍子ちゃんは、優しい子。 日向のような子」 藍子ちゃんの笑顔が蘇る。 優しい日向のような笑みが。 その陰で、悪魔が言った囁きが蘇る。 それは、私自身が抱えてる闇そのものだった。 美穂ちゃんが語った藍子の違和感。 まるで、強さを振り回すような藍子だった。 今の藍子が、正直解らない。 だから。 「そんなの子……貴方だけは、最後まで藍子の友達で居てあげて」 私が言えることは、それだけだった。 だって、私は 「きっと、私はもう無理だろうから」 『……それって』 今の相葉夕美は、 心の底から、高森藍子のことを信じてあげられないから。 「私、貴方と話せてよかった」 『……お願い、もう少し詳しく教えて……ください』 「……嫌だ」 『どうしてですかっ! これじゃまるで、別れ……』 あの子が語った藍子ちゃんは私にとって違和感しか生まれなかった。 きっと、これ以上はなしても齟齬で苦しんでしまうから。 そして、 「何もかも吐き出しそうになるから。言いたくないから。だから、藍子をよろしくね。それで、いいんだよ」 全部抱えてるもの言っちゃうから。 だから、私は此処でおしまいにする。 それは、本当に嫌なんだよ。 貴方は私に似ているから。 きっと、全部言っちゃう。 それが、嫌。 それに、時間だろう。 だって、多分 『そんな……『……美穂ちゃん?』……あっ』 そろそろ、藍子ちゃんが戻ってくると思ったから。 「うん、美穂ちゃん……藍子ちゃんにかわって欲しいな」 そして、始まる。 ――――私と藍子の待望の会話が。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「……美穂ちゃん?」 まるで逃げるように会議室に去って藍子は、暫く警察署を彷徨っていた。 何となく自分の心を落ち着かせるのに、ただひたすらと歩いていて。 闇雲に歩いている最中に、携帯端末を給湯室に忘れている事に、藍子はやっと気付いた。 そして、慌てて戻っている時に、ネネに会ってきたと言う智絵里と目を赤くした美羽と合流し、美穂の下に向かうと、電話している姿が見えて。 藍子はその瞬間、状況を察して 「……もしかして、夕美ちゃん?」 「……はい」 それが、夕美からの電話だと、すぐにわかった。 だから、藍子は一回目を閉じて、そしてゆっくりとあけて気持ちを入れかえる。 友紀の事は、哀しいし、不安で、気にかかって仕方がない。 だけど、今は、藍子の親友である夕美と、話がしたかった。 だから、ちゃんと夕美と話したいと思って、今は夕美だけの事を考えて、電話を受け取る。 美羽は驚きながら、藍子を見て、智絵里もそれにつられて藍子を見ていた。 美穂は何処か不安そうに藍子を見ていた。 藍子は、それらを気にせず、ずっと会いたかった友達の名前を呼ぶ。 「……夕美ちゃん?」 『や、私だよ。元気にしてた?』 「勿論、私は元気だよ」 『そっか、よかった』 「夕美ちゃんは?」 『うん、まあ元気にしてたよ』 電話から、聞こえる夕美の声は一見いつもとかわらなさそうで藍子は少し、安心する。 未だに行方が解らなかったから、怪我をおって動けない。 そんな想像すら、していたから。 「今、何処にいるの?」 『んー南の浮き島の辺り?』 「……そんなところに居たんだ」 『そんな所に居たんだよ。ちひろさんも酷いよねー、そんな所に置くなんて』 これも、嘘じゃないだろう。 藍子はそう思いながら、言葉を紡ぐ。 何でそんな所におかれたか藍子には到底わからないが、それでは見つからないはずだ。。 「こっちは友紀ちゃんや美羽ちゃんにも会ったよ」 『うん、知ってる』 「友紀ちゃんは今居ないけれど……美羽ちゃんとかわろうか?」 『いや……いいよ。今は藍子ちゃんと話したいな』 友紀の名前を、口にするとき、藍子は少し心がちくっとした。 友紀の事を、夕美にも相談したかった。 けれど、電話から聞こえる夕美の声はやがて、藍子にとって少し違和感を感じるものに変わって来て。 美羽より藍子を優先した夕美に、それが徐々に確信めいた何かを感じ始めている。 何か、切羽詰ったものを夕美から感じて。 「……夕美ちゃん?」 『うん? どうしたのかな?』 「い、いや……なんでもないよ。色々話したくて、話したい事一杯で何から話そうかな……」 『そっか。いいよ、藍子ちゃんのペースで、ね』 それが、徐々に自分の胸騒ぎに変わっていくのを感じる。 夕美が、何かされたのではないか。 唐突にかかってきた電話。 殺し合いに巻き込まれたのに、余りにも普段と変わらないようにしようとする夕美。 考えれば、考えるほど不自然に思えてきて。 「ねえ、夕美ちゃん……この通話って、どうして出来たの?」 『言わないとダメ?』 「出来れば教えてほしいかな」 『藍子ちゃんは、しょうがないなぁ……ちひろさんに寂しいから、藍子ちゃんとお話したら、どうって』 「そう」 『それだけ。だから、もっと楽しい事話そうよ。 独りで寂しくてさ』 嘘だと、藍子は思う。 そんな理由でちひろが電話をさせてあげるほど、ちひろが優しいと藍子には思えなくなったから。 きっと何か打算があって夕美にかけてきたとしか思えない。 夕美まで何かされてると考えると、藍子はもう耐えられない。 『あは、そういえばこうやって話すのも久々だね』 「そういえば……そうだね」 『昔……そんな前でもないか。こうやって電話で色々話してたよね。藍子ちゃんが不安で眠れないとか』 「も、もう。そんなこともあったけれど!」 『あははっ……懐かしいねぇ』 いつものように、話す夕美は、もう藍子には違うようにしか感じられない。 ずっと一緒に居たから。 友達だから、親友だから。 今の、相葉夕美は、可笑しい。 まるで何かを必死に抑えてるようで。 『ふふっ……藍子ちゃんは、笑えてるようだね。良かった』 「夕美ちゃんも笑えてる?」 『私?……うん、大丈夫、笑えてるよ』 嘘だ。 絶対。 楽しく笑えてない。 『ねぇ、藍子ちゃん覚えてる?』 「……何かな?」 『藍子ちゃんが私の隣で、最後に泣いた日の事』 「……忘れるわけがないよ。あれは私にとっても、とても大切な日だから」 『そっか。あのね、私は――』 ねぇ。 夕美ちゃん。 どうして、どうして。 そんな声出すの。 やめて。 『あの時、聞いた夢。藍子ちゃんの想い、凄いと思ってるんだ。今でも。本当だよ』 「夕美ちゃん……」 『その夢を一緒に、フラワーズの皆で、一緒に叶えようって思った」 「私もだよ!」 『そんな夢を目指す藍子ちゃんが大好―――』 夕美ちゃんが、違う。 とても哀しそう。 とても辛そう。 いやだ、そんな、夕美ちゃん 見たくない。 だから。 「夕美ちゃん!」 私は、貴方を救いたい。 貴方が哀しんでいるなら。 私は貴方を助けたい。 だって、私は貴方の、親友なんだから。 『な、何かな?』 「夕美ちゃん、どうしたの。凄く辛そう……」 『そ、そんなことないよ……』 「ううん、何か必死に抑えてる。ちひろさんに何かされたの?」 考えられるのはちひろさんしかいなくて。 私はそのまま夕美ちゃんに言葉をぶつける。 『そんな事ないって。藍子ちゃん、やめよう……そんな事』 「いや……辛い夕美ちゃん見たくない!」 『だから藍子ちゃん、そんな事じゃないって……!』 だって、夕美ちゃん。 声震えてるよ。 苦しいそうだよ。 ダメだよ。 そんなの。 「ねえ、夕美ちゃん。苦しいなら、言って。哀しいなら言って」 私が、全部聞くから。 私に、全部言って。 あの時、私が泣いた時のように。 今度は夕美ちゃんの隣に私がいるから。 「優しい気持ち大事だよ? 大丈夫だよ、夕美ちゃん強いもん。一緒に居よう?」 優しくなれば、きっとまた笑える。 夕美ちゃん強いもん。 私達と一緒に居ようよ。 「此処には皆、居る。アイドルの皆が。皆で居れば、きっと大丈夫。独りはダメだよ?」 一緒に居ればいいよ。 私と美羽ちゃんと、ここにはいないけど友紀ちゃんも絶対連れてくるから。 「そうして、プロデューサーに会おう。フラワーズ皆で!」 だから、夕美ちゃんも一緒に居て欲しい。 「私、独りで抱え込む夕美ちゃん見たくないよ。辛いなら哀しいなら……」 だから。 「私は何度だって、笑って、夕美ちゃんに手をさしのばすから」 優しくなれるように。 お願い、私の傍にいて。 「だって、私、夕美ちゃんの親友だもんっ!」 わたしの、大切な親友。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ああ。 やめて、藍子ちゃん。 耐えられなくなる。 何これ、藍子ちゃん。 なんで、そんな事言うの? 「ううん、何か必死に抑えてる。ちひろさんに何かされたの?」 どうして、そうやって決め付けるの。 私が頑張って必死に吐き出さないようにしてるのに。 どうして、藍子ちゃんは…… 「いや……辛い夕美ちゃん見たくない!」 やめてよ。そんな事言わないで。 我慢してるんだよ、これでも。 ずっと、ずっと! 「ねえ、夕美ちゃん。苦しいなら、言って。哀しいなら言って」 言える訳ないじゃない。 言いたくないことだって一杯ある。 哀しみを貴方に言える分けない。 だって、貴方が大好きなんだから。 それを言ったら貴方を傷つける。 「優しい気持ち大事だよ? 大丈夫だよ、夕美ちゃん強いもん。一緒に居よう?」 どうして? 私は強くない。 なんで、なんで! 藍子ちゃんは、そんな変わったの? 嫌だ、違和感しか感じない。 貴方はそんな優しさというものを上から振りかざす人じゃない。 強さを押し付ける人じゃない! 私が知ってる藍子ちゃんじゃない! 私の藍子ちゃんじゃない! 「此処には皆、居る。アイドルの皆が。皆で居れば、きっと大丈夫。独りはダメだよ?」 私は貴方がいればよかったんだよ。 私はそれで終われたのに。 止めてよ、それ以上そんな言葉かけないでよ。 「そうして、プロデューサーに会おう。フラワーズ皆で!」 やめて。 あの人が望んでいるのは貴方なんだよ。 私じゃないんだよ! そんな風に勝ち誇るのはやめてよ! いやだよ 「私、独りで抱え込む夕美ちゃん見たくないよ。辛いなら哀しいなら……」 だから、もう 「私は何度だって、笑って、夕美ちゃんに手をさしのばすから」 あぁ。 あぁぁぁあぁああぁ! そうやって、そうやって! 貴方はそうやって! 私を見下すんだ。 どうにも届かない高いところから。 貴方は手をさしのばすんだ。 「だって、私、夕美ちゃんの親友だもんっ!」 私は、高森藍子の親友 ――だったのに。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 何かが、壊れるような音がした。 きっと、それは、私の心だった。 「いつだって、藍子ちゃんはそうだ。もううんざりだよ。 やめてよ。それ以上そんな事いうのやめてよ。 だめなんだってそういうの……もう、耐える事できないよ…… いつだって貴方はそう。そうやって上から何でも解ったようにいてさ。 いつも、いつもいつも! 私がどれだけ我慢してるか、貴方わかる!? 解らないよね! たくさんなんだよ、もう本当沢山。そういうの、いつだって私してきたよ。 くるしいよ。藍子ちゃんがそうやって言葉かけてくるの。見下してるんでしょ。 なんども、なんどもさあ。貴方のそういう無神経なところ苦しめられて。 いつも、我慢するのは、遠慮ょするのは、私だもの! あぁもう、そういうところがいつもイラついてたんだ。 いつも無神経で、誰の心も考えてない。 これだって、そうだ。私のこと何も思ってないじゃない。 たすけるなんて、凄い上から見て。強いね、藍子ちゃんは すごいよ、藍子ちゃんは。いつだって強くて、私、貴方が羨ましい。 けどね、そういうのもう、我慢できない。 てを差し伸べるだって」 高森藍子のことが大好きだった。 あの子のいい所、喜ぶこといっぱい言えるよ。 けど、それと同時に。 あの子の悪いところ、傷つくこともいっぱい言えた。 「あーあー。 もう言っちゃうね ――藍子さぁ、そういう所、うざいんだって、やめてよ。そういう藍子、大嫌い」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 一度、吐き出したらもう止まらなかった。 あの子に感じてた悪い事、嫌いなことを、全部いえそうだった。 『……えっ』 「ねえ、藍子さあ。私ね、凄い頑張ってたんだよ。 やっとアイドルになれて。フラワーズというグループもらえて でも、気が付いたら貴方が一番になってて。私はいつもその次で。それなのに、貴方はいつでも、皆を立てて。 まるで、自分が一番じゃないかのように振舞って。そういうのむかつくんだよ? 傷つくんだよ?」 藍子がいつの間にかリーダーになっていた。 最初は私のグループだったはずのに。 そしたら、どんどん先に行って。 私は実力的にも評判も、全部貴方の後ろ。 それなのに、貴方はいつも一番じゃないって言う。 何でよ、そんなの明白じゃない。 そういうの、プライドが傷つくんだよ。 私だって一番になりたかった。 それでも、貴方に勝てなかったのに。 貴方がそれを認めないの、やめてよ。 「ただ、惨めになるだけ。 私はいつだって、そう貴方に負けてないといけない。 どうして? ねえ、どうして? 貴方と私に、どれだけの差がついた? それなのに、貴方は認めないの? やめてよ。そういうの、大嫌い」 そうやって、悔しい思いにも頑張って耐えて。 私は本当は一人でデビューしたかった。 相葉夕美として。 フラワーズの相葉夕美じゃなくて。 それで人気を得たかった。 「それだけじゃ知らず、優しさ振り舞いて、時に私を見下してたでしょ」 『ち、ちが……』 「違うくない! 今だってそうやってた! 悔しいよ! 私、かなわないんだもん! 藍子に! なのに、いつも貴方はそうじゃないって!」 かなわないことはわかってた。 でも、それでもよかったのに。 なのに、そうやって勝ち誇られてた。 優しさでいつも私を立ててた。 でも、それは同時に高みから見る見下しだ。 「昔の藍子は、そうじゃなかった。藍子は、私の藍子は、傍で、一緒にいてくれる子だったのに!」 『今だってそうだよ……ねえ、夕美ちゃん……やめて』 「違う! 今の藍子は違う! 藍子じゃない、私の藍子じゃない!」 どんどん、届かないところにいってしまう。 私の手から離れていってしまう。 藍子が、どんどん遠くに行ってしまう。 私の傍から離れていく。 もう、何処にも届かない事に。 「想いだって叶わない……だって、私だって、好きだったんだよ?」 『えっ』 「プロデューサーの事……貴方と同じくらい、藍子と同じくらい、大好きだった」 『そんなの知らない……』 「だって、いえるわけじゃないじゃない! 私は貴方のことが好きで、大切で! 貴方のことを思ったら言えるわけなかった!」 祝福したかった。 でも、できなかった。 苦しかった。 そうだそうなんだ。 「貴方の笑顔みてて、藍子が幸せそうで、でも、それでよかったのに……貴方に勝てないのいつまでも、見せ付けられて 私だってあの人のこと好きだったのに。 でも、仕方ないと思った。 けど、苦しくて、哀しくて。 あの人と貴方が幸せなればいい。でも、そうすると、二人とも、もう、届かない」 辛かった。 私の思いがかなわないのが。 「それなのに、藍子は想いを隠して優しくしてさ! 好きなら好きといってよ! 祝福したのに……遠慮してさ……やめてよ……」 ただ、それが辛かった。 「ねえ、どうして、どうして? 私ばかり我慢しなきゃならないの? 私だけ諦めなきゃならないの? 私は藍子を立て続けなきゃならないの? 何時までも?」 いつだって、私は我慢してた。 いつだって、私は諦めてた。 藍子が幸せならそれでいい。 だって、藍子が好きだったから。 だって、藍子の笑顔が見るのが好きだった。 でも、どうして、私だけなの? でも、どうして、私だけがこうなるの? 「藍子も、あの人も大好きなのに、大切なのに、皆、離れていく。嫌だよ……なんでなの……苦しいよ、哀しいよ」 藍子のことが好きで。 でも、藍子はいつだって私のことに気付いてくれない。 私が我慢してることも、譲ってることも。 そして、私を離した高みの上で見下してる。 「そういうの、嫌いなんだよ。藍子」 わたしはね。 「藍子さあ、そういう、優しければいいみたいの、私ダメなんだ、なんか、見下されているようで。 私は藍子の親友だって。思い続けていたよ。 でも、なんかどんどん藍子が遠くに言っちゃう。 藍子にかなわない。 それならそれでいい。 でも、貴方はそうやって高みから見下す。 ――――そういうの、私、大嫌いだよ」 ただ、そういうのが、そういう藍子が嫌いだった。 「フラワーズだって、そうだ。貴方が一番だったのに。 貴方がそれを認めない。 貴方の為のグループになっていたのに。 皆そう思ってたのに、あなた自身が何時までも認めない。 藍子、そういうの私、傷つくんだ」 だから 「そういう藍子、嫌いだったよ」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 言ってしまった言葉があって。 まだ言い足りない事もあって。 続けようとして。 『ねえ……夕美ちゃん……夕美ちゃんにとって、フラワーズは、私はただの重い枷だったのかな?』 震えた、藍子の言葉で。 私は吐き出した言葉が戻らない事も知っているのに。 ただ、我に返った。 「ち、違う。違うよ……藍子……あぁ……あああああああああああああああ!!!!!」 そして、狂ったような声が、私からあふれでた。 涙と共に、強い叫びがあふれでた。 言いたくなかった。 なのに、言ってしまった。 抑えたかった思いがあふれでた。 「藍子、藍子……私は、それでも、藍子のことが好きだったんだよ」 弁明のように言葉を紡ぐ。 嘘じゃない。 それも真実だった。 「藍子の温かいところが、優しいところがそれでも、好きだった。本当だよ! 大好き!」 とめどなく出た想い。 すきという感情。 これも本当だった。 まるで、うそっぱちに響くだろうけど。 「ごめんね……ごめん……御免なさい……」 そして、謝るしかなかった。 言うべき感情じゃなかったのに。 言ってしまった。 「ごめんね。もう何も、元通りといかいかないよね」 だから、後は壊れるだけだから。 私はもう一つの本当のことも言おう。 「だから、最後に、いうね。藍子。 私は、それでも、そう思っていても。 藍子が友達だと思った。 私が我慢していた事、傷ついていた事、諦めた事も沢山あった。 でも、それと同時に、藍子から、幸せな事、嬉しい事、励まされた事一杯あった。 一緒に居たかったいつまでも。 ずっと、傍に居て。 笑いあって居たかった。 こんな重たいものを持っていても。 私は居たかった。 なんでって? それ位、藍子のことが嫌い以上に、大好きだったから。 だから、藍子、最後に」 息を吐いて言葉を紡ぐ。 「貴方の笑顔に、貴方に想いに私は 救われてたよ。 私は独りじゃなくて本当によかった。 プロデューサーと幸せに。 藍子今まで、ありがとう。 大好きだよ……私の、親友。 ごめんね……大嫌いで大好きな人」 その言葉が箍で外れたように、涙が出てきて。 藍子が、電話を落とした音が聞こえてきた。 それで、終わりなのだろう。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 『夕美ちゃん!』 「……美羽」 でも、まだ通話は続いていて。 美羽の声が聞こえてくる。 美羽が電話を拾ったのだろう。 『ねえ、どうしたの! 夕美ちゃん』 「……よかった美羽はそのままなんだね」 『何がなんだか、わかんないよ! 藍子ちゃんは固まっているし……』 「千川ちひろに、全部グチャグチャにされた。だから、もうお仕舞」 美羽は最初の声でわかった。 この子は何も変わってない。 何もされてない。 だから、安心して託す事が出来る。 「美羽、聞いて」 『な、何を……?』 「千川ちひろは、きっとフラワーズを潰すつもりなんだと思う」 『……えっ』 「友紀ちゃんもそうなって、藍子も……だから、美羽。千川ちひろに負けない為にも」 愛しいフラワーズの末妹。 勇気の花。 ポピーの美羽。 「貴方だけはフラワーズの美羽のままで居てね」 『……うん』 「約束だよ」 『……う、ん』 「ほら、泣かない。強い子なんだから」 『うん』 「じゃあ、さよなら。美羽」 貴方の事 ううん、フラワーズの事も。 大好きだったよ。 だから 「どうか、健やかにね」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ そうして、通話を切ろうとする。 美羽の声も藍子の声も聞こえない。 私が終わらせたから。 『ダメッ! そんなの、絶対に! 絶対に!』 なのに、聞こえてきた声。 『親友同士の別れが、こんな終わりで終って、たまるものか! わたしが感じた哀しみを藍子ちゃんに感じさせるものか!』 聞こえてきた声は、さっき始めてあった子の声。 『夕美ちゃん! そんなので終らせない!』 小日向美穂の声だった。 「美穂ちゃん……もういいんだよ。終ったんだよ」 『そんな事認めない。 詳しい事は解らないけど……哀しいことが起きたんだよね……でも、貴方も、藍子ちゃんも生きている!』 何が彼女をかきたてているのか。 『わたしの我侭だけど、終わってほしくない! わたしと歌鈴ちゃんはもう話せないんだ! 謝る事も、好きだって事も、伝える事が出来ない!」 彼女の親友は死んだ。 話さないまま。 ただ、それだけの事で。 『だから、大事な親友なら、失ってほしくないから! 夢を見て、笑ってほしいから! もう一度だけしっかり話して!』 ねえ、どうして。 「どうして、貴方はそんなに頑張るの?」 『だって解るから。わたしが――――』 それは、私がいった言葉だった。 『貴方だというなら、大好きな人とつないだこの手を、離したくないから。 大好きな人と、哀しみで終らせないで!」 あぁ。 そうだ。 私は藍子ちゃんと―――― ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「聞こえますか? 夕美ちゃん」 「うん」 「良かった」 「……藍子」 「大丈夫。全部解ったから。色んな想い、伝わったから」 「御免ね、本当ごめん……」 「正直、夕美ちゃんの気持ち全くわかってなくてごめんね」 「藍子が謝る事じゃないよ」 「ううん……気づけなかったのは、親友である私のせいだから」 「藍子……」 「あのね」 「なぁに」 「夕美ちゃんにこれだけは、伝えるね」 「辛い時も、哀しい時も一緒にいよう……ううん、楽しい時も、嬉しいときも、会いたいときも、ずっと一緒にいよう、一緒にいればいいじゃない!」 「その言葉は……」 「うん、私が言ってもらった言葉。嬉しかった。だからね、今の事も、哀しくないんだ」 「どうして?」 「一緒に言葉を交わせたから、一緒にいれたから それが、よかったから」 「っ!?」 「だからね、私、夕美ちゃんのことが大好き。今も、これからも、永遠に」 「藍子……ちゃん……藍子ちゃん……」 「夕美ちゃんはどう?」 「私――――藍子ちゃんのことが、大好きっ! ずっと、ずっと、ずっと大好き!」 「うん!」 「ねえ、藍子ちゃん」 「なあに?」 「私達――――出会えてよかったよね?」 「勿論だよ」 「「ありがとう、私の大好きな大好きな親友」」 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ そこで、通話が、切れた。 哀しくも、幸せだった事をねがった結末が、そこにあった。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「どうして! どうして!」 通話が終わり、美羽は泣いていた。 泣きながら、藍子の胸をひたすら叩いていた。 藍子を睨みながら、ぽかぽかと。 「どうして、貴方が泣いてあげないんですか! 藍子ちゃん!」 それは、藍子が泣いていないから。 困ったように笑っているだけだから。 「夕美ちゃん、死ぬつもりですよ! あれで、最期かもしれないのに!」 「……」 誰も彼も、解っていた。 相葉夕美が、生きて会うつもりが無い事を。 それなのに、親友の藍子が何も泣いてない。 「貴方が一番泣いてあげなくて、誰が一番泣いてあげるんですか! 夕美ちゃんの為に!」 「……」 「何とか言ってくださいよ! お願いだから!」 ぽかぽかと胸を叩き続けて。 美羽はふと藍子の顔を見る。 そこに在ったのは、余りにも、暗いクライ瞳があって。 「……っ!」 美羽は驚いて、そのまま後ずさってもう一度、藍子の顔を見る。 そこには何も、変わらない藍子の困ったような笑みだった。 見間違いだろうか。 解らないけど。 でも、今はもう 「もう……いいです!」 この人と一緒に居たくなかった。 美羽ははじけ飛ぶように、部屋から出て行く。 智絵里はただ傍観していただけだったけれど、やがて美羽を追っていて。 残されたのは二人だけ。 困ったように笑い続ける藍子と、それを見つめる美穂だけで。 美穂は、美羽の言葉を、違うと心中、想い。 高森藍子が泣かない理由に、やっと気付いた。 この子は泣かないんじゃない。 多田李衣菜と木村夏樹の死に泣いたのを茜から聞いた。 他人の為にこの子は泣ける。 なのに、何で自分のことになると途端に泣かないのか。 いや、『泣けない』のだ。 自分に関わる哀しみに。 決して、高森藍子は泣かない。 何故だろう。 考えて、考えて。 そして理解した。 それは、きっと高森藍子が望んだ姿なのだろう。 『アイドル』高森藍子の姿がそこに在るんだ。 ああ、と美穂は思う。 それはきっと、アイドルとして一種の正しい姿なのだろう。 他人の為に泣く事は出来るけど、自分の周りの哀しみに、泣かずに笑顔を振りまく姿。 でも、それは正しい一方で、とても間違っている。 それがアイドルと言うなら、あまりにも、哀しすぎる。 けれど、間違っていることを否定できない。 それが、アイドル高森藍子の姿なのだから。 だから、美穂は傍に居ようと思う。 正しいものの、間違っているところまで、理解して、愛そう、信じようと。 その間違いを言ってしまったら。 きっと、藍子は壊れてしまうから。 どんな強いものだってきっと。 美穂は何も言わずに、自分の胸に藍子を抱き寄せていた。 それでも藍子は泣く事はなかったけれど。 ただ、身体の震えけは、どうしても伝わってきて。 今はきっと、それでいいと思う。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 「楓さん」 「何、智絵里ちゃん」 その部屋には楓を探して見つけて、傍で泣いている美羽。 何で泣いているか、解らず困ったように美羽を見ていた楓。 そして、その楓を見据えていている智絵里が居た。 智絵里は、藍子と夕美が悲しい別れをしたのを、何となく理解できた。 それは、余りにも哀しくて。 哀しみで終らしていいものなんて、やっぱり何処にもないと智絵里は思う。 だから、知る必要があるんだと思う。 「貴方は知らなきゃ、やっぱりダメです」 「何を?」 彼女が、終らせたかもしれない命の事を。 「南条光さんと、ナターリアさんの最期、聞いてください」 哀しみに先にあるものの為に。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ 相葉夕美は、ただ泣いていた。 泣いて。 泣いて。 それだけだった。 何もない、涙だけがずっと流れていて。 そして、忘れようもない思い出がずっと傍にあって。 声を上げて、泣く事しか出来なかった。 そんな彼女を、沢山の星を見つめいていた。 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ そして。 『なにものでもない少女』が屋上から、星を見ていた。 だんだん、明るくなってきて星が見えなくなっていく。 そして、押し寄せる哀しみに必死に耐えていて。 フェンスに、身体を押し付けていて。 やがて、その身体ごと、膝から崩れ落ちて行く。 両手はフェンスを握り締めながら。 ただ、もう、立てなくなって。 ずっと、ずっと身体を震わしていた。 そして、 『なにものでない少女』はそれでも、涙を流す事ができなかった。 ――いつでも側にいること、普通に感じていたけど、もっと大事にしよう 夢見て笑っていよう 失いたくない 【G-5・警察署 / 二日目 黎明】 【高森藍子】 【装備:少年軟式用木製バット、和服、ブリッツェン】 【所持品:基本支給品一式×2、CDプレイヤー(大量の電池付き)】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:殺し合いを止めて、皆が『アイドル』でいられるようにする。 0:?????? 1:????? 2:自分自身の為にも、愛梨ちゃんを止める。もし、“悪役”だとしても。 【小日向美穂】 【装備:クリスマス用衣装】 【所持品:基本支給品一式×1、草刈鎌】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:恋する少女として、そして『アイドル』として、自分の弱さを、大切にしながら、それでもなお強く生きる。 0:藍子ちゃんの理解して、傍にいよう。 1:美羽ちゃんの友人になれるようがんばろう。 2:歌鈴ちゃんの想いをプロデューサーさんまで届ける。 3:ネネちゃんにした事を絶対忘れない。 ※装備していた防護メット、防刃ベストは雨に濡れた都合で脱ぎ捨てました。(警察署内にあります) 【栗原ネネ】 【装備:なし】 【所持品:基本支給品一式×1、携帯電話】 【状態:憔悴】 【思考・行動】 基本方針:輝くものはいつもここに 私のなかに見つけられたから。 1:未来を見据え生き抜くことを目標とし、選び続ける。 2:美穂を許したことにする。 ※毒を飲みましたが、治療により当座の危機は脱しました。 ※1日 #65374;数日の間を置いて、改めて容体が悪化する可能性が十分にあります。 【川島瑞樹】 【装備:H K P11水中ピストル(5/5)、婦警の制服】 【所持品:基本支給品一式×1、電動車椅子】 【状態:疲労、わき腹を弾丸が貫通・大量出血(手当済み)】 【思考・行動】 基本方針:プロデューサーを助けて島を脱出する。 0:本当大変ね…… 1:友紀ちゃんのことが心配。 2:夜が明けたら漁港へと使える船があるか確認しに行く? 3:お酒、ダメ。ゼッタイ。 4:ちひろはなにを考えて……? 【大石泉】 【装備:なし】 【所持品:基本支給品一式x1、音楽CD『S(mile)ING!』、爆弾や医学に関する本x数冊ずつ、RPG-7、RPG-7の予備弾頭x1】 【状態:睡眠中、右足の膝より下に擦過傷(応急手当済み)】 【思考・行動】 基本方針:プロデューサーを助け親友らの下へ帰る。脱出計画をなるべく前倒しにして進める。 0:私だって…… 1:首輪解除の準備を始めたいけど……? 2:医学書を読んでできることがあれば栗原ネネにできるだけの治療や対処を行う。 3:夜が明けたら、漁港へと川島さんを派遣して使える船があるか見てきてもらう? 4:放送待って、茜の安否を核に。 友紀が心配。 5:学校を再調査する。 6:緊急病院にいる面々が合流してくるのを待つ。また、凛に話を聞いたものが来れば受け入れる。 7:“悪役”、すでに殺しあいにのっているアイドルには注意する。 8:依然として行方の知れないかな子のことが気になる。 【緒方智絵里】 【装備:アイスピック ニューナンブM60(4/5) ピンクの傘】 【所持品:基本支給品一式×1(水が欠けてる)、ストロベリー・ボム×16】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:心に温かい太陽を、ヒーローのように、哀しい夢を断ち切り、皆に応援される幸せな夢に。 0:貴方は知らなきゃダメです。 1:他のアイドルと出会い、『夢』を形にしていく。 2:大好きな人を、ハッピーエンドに連れて行く。 3:姫川友紀を止める。 その為に姫川友紀のことを聞く。 【高垣楓】 【装備:仕込みステッキ、ワルサーP38(6/8)、ミニパト】 【所持品:基本支給品一式×2、サーモスコープ、黒煙手榴弾x2、バナナ4房】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:アイドルとして、生きる。生き抜く。 0:????????? 1:まゆちゃんの想いを伝えるために生き残る。 2:お酒は生きて帰ってから? 【矢口美羽】 【装備:鉄パイプ】 【所持品:基本支給品一式、ペットボトル入りしびれ薬、タウルス レイジングブル(1/6)、歌鈴の巫女装束】 【状態:健康】 【思考・行動】 基本方針:?????? 0:??????? 【G-7 大きい方の島/二日目 早朝】 【相葉夕美】 【装備:ライフジャケット】 【所持品:基本支給品一式、双眼鏡、ゴムボート、空気ポンプ、オールx2本 支給品の食料(乾パン一袋、金平糖少量、とりめしの缶詰(大)、缶切り、箸、水のボトル500ml.x3本(少量消費)) 固形燃料(微量消費)、マッチ4本、水のボトル2l.x1本、 救命バック(救急箱、包帯、絆創膏、消毒液、針と糸、ビタミンなどサプリメント各種、胃腸薬や熱さましなどの薬) 釣竿、釣り用の餌、自作したナイフっぽいもの、ビニール、傘の骨、ブリキのバケツ(焚き火)、アカガイ(まだまだある?)】 【状態:慟哭、『絶望(?)』】 【思考・行動】 基本方針:???????????????????????? 0:?????????????????????????? 前:THE 愛 投下順に読む 次:欺瞞 前:彼女たちが生きてこそと知るクラッシュフォーティー 時系列順に読む 次:欺瞞 前:彼女たちのかつて、そして現在のサーティーナイン 大石泉 次:彼女たちの誰もが愚者を演じるフォーティスリー 川島瑞樹 高垣楓 矢口美羽 栗原ネネ 小日向美穂 前:彼女たちがそれを選んだサーティエイトスペシャル 高森藍子 前:Shangri-La 緒方智絵里 前:もうひとりじゃないよ 相葉夕美 次: ▲上へ戻る